大分県議会 > 2018-06-18 >
06月18日-02号

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  1. 大分県議会 2018-06-18
    06月18日-02号


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    平成30年 第2回定例会(6月)    平成30年第2回大分県議会定例会会議録(第2号)平成30年6月18日(月曜日)  -------------------------------議事日程第2号    平成30年6月18日      午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        井上伸史  副議長       濱田 洋            志村 学            麻生栄作            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            吉冨英三郎            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            嶋 幸一            毛利正徳            油布勝秀            衞藤明和            元吉俊博            末宗秀雄            御手洗吉生            近藤和義            阿部英仁            後藤慎太郎            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            久原和弘            戸高賢史            吉岡美智子            河野成司            荒金信生            堤 栄三            桑原宏史欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       二日市具正  副知事       安東 隆  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    岡本天津男  企業局長      神 昭雄  病院局長      田代英哉  警察本部長     太刀川浩一  福祉保健部長    長谷尾雅通  生活環境部長    山本章子  商工労働部長    神崎忠彦  農林水産部長    中島英司  土木建築部長    阿部洋祐  国民文化祭・障害者芸術文化祭局長            土谷晴美  会計管理者兼会計管理局長            岡田 雄  防災局長      牧 敏弘  人事委員会事務局長 下郡政治  労働委員会事務局長 飯田聡一  財政課長      佐藤 章  知事室長      山田雅文  -------------------------------     午前10時 開議 ○井上伸史議長 これより、本日の会議を開きます。  ------------------------------- △諸般の報告 ○井上伸史議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 去る12日に文化・スポーツを活用した地域づくり特別委員会の委員長、副委員長が辞任したことに伴い、新たに委員長に嶋幸一君が、副委員長に古手川正治君が互選されました。 以上、報告いたします。  -------------------------------井上伸史議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第2号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○井上伸史議長 日程第1、第68号議案から第85号議案まで及び第1号報告、第2号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次、これを許します。衛藤博明君。  〔衛藤博明議員登壇〕(拍手) ◆衛藤博昭議員 3番自由民主党の衛藤博明です。 初めに、この度の定例会におきましても、貴重な一般質問の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。 議会の諸先輩方、同僚諸氏に、そして、傍聴に駆けつけていただきました皆様、日頃の活動を支えていただいております支援者の皆様に熱く感謝御礼申し上げます。 今回の一般質問は、最初の小話はなしにしまして、早速、質問に入らせていただきたいと思います。 初めに、食による海外からの富裕層の誘客について伺います。 タイトルだけでは内容が少し伝わりづらいと思いますが、アメリカ、ヨーロッパ、大洋州といった地域の富裕層へのインバウンド対策について、議論を進めてまいりたいと思います。 ラグビーワールドカップの開催が来年に迫る中、大分県におけるラグビーワールドカップのレガシーとして、知事は以下の3点をあげておられました。 まず、ラグビーの魅力と感動を世界のラグビーファンと身近で分かち合うこと。次に、品位・情熱・結束・規律・尊重というグローバルなラグビー精神を体験してもらうこと。3番目に、アジアからの誘客に加え、欧米や大洋州からの観戦客で海外誘客のウィングを広げていくことの3点です。 特に、3番目の欧米や大洋州からの観戦客に対して、今後の海外誘客のウィングを広げていくということは、本県の観光戦略にとっても大変に重要なことであると感じております。 2018年5月に日本政策投資銀行欧米豪発アジア観光マーケット調査というレポートを出しました。まさに知事が重要視されている、欧州と大洋州からの観光客に対する分析を行ったものです。 同レポートの中の、国別のアジア観光マーケットにおける日本のポジショニングを抜粋し、参考資料として配付しておりますので御覧ください。 この資料は、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、それぞれから見てアジア各国の観光マーケットでの位置付けを示したものです。 縦軸が一人の一日あたりの支出額で、縦軸が上に行くほどラグジュアリーと言われる富裕層になります。 縦軸の上がラグジュアリー層で、下がエコノミー層となります。横軸は平均滞在日数で右に行くほど長くなります。横軸の左に寄れば短期滞在、右に寄れば長期滞在というように分布をしております。 欧米豪の各国に共通する傾向として、日本のポジションはエコノミー層を中心の長期滞在型で、同様の観光では既にタイやインドネシアがマーケットを確立しています。 グラフの左上に位置するラグジュアリー層向け短期観光マーケットでは、シンガポールがポジションを確立していますが、国土が非常に狭いため、シンガポールはマーケットサイズの拡大には限界があります。 したがって、我が国のマーケットを拡大するための戦略としては、ラグジュアリーマーケットにおけるポジショニングを長期・短期滞在の両側面から強化して、アジアの他の国との差別化を図っていく。つまり富裕層、ラグジュアリー層をターゲットして、ポジションをグラフの中の上の方向に押し上げていくことが有効であると考えております。 短期都市型観光の推進には、産業及び文化の集積を活用した観光産業の振興やナイトタイムエコノミーの開発などが有効になります。ナイトタイムエコノミーとは、居酒屋やナイトクラブなど、一般的に屋遊びをイメージするものだけでなく、夜間医療や24時間体制で私たちの生活を支えるインフラ、例えば地下鉄やバスの深夜運行や24時間運行など、日没から翌朝までに行われる経済活動の総称であり、インバウンド消費を増加させる戦略として有効だと言われております。 この度別府に進出するインターコンチネンタルホテルを運営するIHG・ANAホテルズグループジャパンCEOのハンス・ハイリーガーズ氏は講演の中で、「九州は、日本国内でもラグジュアリーマーケットの伸び代が最も大きい」と語っています。 アジアからのインバウンドの話になりますが、2018年5月31日の西日本新聞によれば、北九州市と下関市などが訪日外国人約23万人分のビッグデータを分析したところ、韓国、台湾、香港から九州北部を訪れた外国人の主要な観光ルートは、福岡市内を周遊するか、福岡市から福岡県太宰府市や大分県由布市などを行き来しているということが分かってきました。 韓国人の場合、九州への出入国の窓口は福岡空港が年137万人と圧倒的に多く、その旅行先は福岡市を中心に福岡県内を回るルートが45%、福岡県と大分県を訪ねるルートが33%を占め、合計で80%近くになっています。 福岡県では、インバウンドを視野に入れたラグジュアリーマーケットへの対応が進んでおり、アジア・ベストレストラン50で1位になったバンコクのレストラン、Gaggan(ガガン)と、同48位の福岡のラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウがコラボし、2021年に福岡に共同運営のファインダイニングGohGan(ゴーガン)をオープンする予定です。また、2022年12月には旧大名小学校跡地に高級ホテル、ザ・リッツカールトンが開業を予定しています。 本県においても、別府市ではインターコンチネンタル別府、星野リゾート、潮騒の宿晴海の宿泊棟新設など、ラグジュアリー層を念頭に置いた宿泊施設の拡充が進んでいます。 さきほど述べたように、インターコンチネンタル別府は滞在日数4泊を目指しており、ホテル外部における魅力的なコンテンツの充実が急務となっています。 そのためには、欧米豪のラグジュアリーマーケットを狙った食文化の振興が必要不可欠であると考えます。大分の一次産品に対する評価は高いものの、多品種少量生産のものについては、ラグジュアリーマーケットに対応したレストランへの食材提供による高付加価値化が重要であり、福岡など域外のレストランに食材として販売して、福岡をショーウインドウとして、大分へも足を伸ばして宿泊してもらう必要があります。そして、大分の食材を大分のレストランで、ラグジュアリー層に向けて高価格で提供することで、このマーケットの確立につながっていくと考えております。 本県でもラグジュアリー層に対応する宿泊施設が整い始める中、食文化の振興をはじめ、富裕層を対象としたインバウンド戦略の今後の方向性と施策についてのお考えを伺います。 以降は、対面席より質問をさせていただきます。  〔衛藤(博)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○井上伸史議長 ただいまの衛藤博明君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま衛藤博明議員から、食による海外からの富裕層の誘客について、御質問をいただきました。 昨年の本県の外国人宿泊客は、過去最高の132万人泊となり、全国の13位となっております。国別で見ますとアジアからが約9割、欧米、大洋州からは約2%となっておりまして、来年のラグビーワールドカップ、さらに2020年東京オリンピックパラリンピックなどのビッグイベントを契機に欧米、大洋州からの誘客を図り、富裕層を含む客層の多様化を進めるということが大変重要だと思っております。 平成28年度に県が、イギリスやフランス、オーストラリアなど、ラグビーワールドカップ出場国で行った調査では、日本で体験したいことのベスト3は、日本らしい観光地・景色を見る、日本食を食べる、日本文化を体験するでありまして、食は観光における強力なコンテンツになっております。 先月、開催した世界温泉地サミットでの、ONSEN・ガストロノミーウォーキングなどでは、大分の豊かな自然、歴史文化をめぐりながら、本県特有の温泉の蒸気を活用した地獄蒸しなど、大分ならではの料理を楽しんでいただき、大変好評でありました。また、安心院ワインなども高い評価をいただいたところであります。 今後もビッグイベントを好機と捉えまして、好調なインバウンドをさらに伸ばし、客層の多様化を進めるため、きめ細かな情報発信、誘客、受入環境整備等の取組を強化してまいりたいと思っております。 情報発信では、これまでも海外メディア等を招聘し、大分の食を味わってもらうなど、その魅力を海外に幅広く発信してまいりました。本年は、世界的に有名なレストランや飲食店のガイド本である「ミシュランガイド熊本・大分特別版」が、7月13日に発行されます。9月にはWEB上で英語版も公開される予定で、海外に向けて本県の食の魅力をさらに発信していくことになると思います。また、そうしたいと思います。 誘客では、ラグビーファンの多い欧米、大洋州での現地プロモーションやセールスに加えて、富裕層に的を絞った高級クルーズ船の誘致にも取り組みます。受入環境の整備では、団体客、個人客、富裕層など、様々な観光客が、それぞれの価値観に応じて本県を満喫してもらえるように、大分の自然や歴史・文化が体験できる旅行商品の造成を行います。また、県内各地の若手シェフによる勉強会「食ラボ大分」などと連携して、県産食材を使って、欧米、大洋州の方の嗜好に合う料理を開発します。メニューの多言語表示や、ムスリム等に対応した食材表示にも取り組みます。 このような取組を積み重ねて、食をはじめとする大分の魅力を世界に向けて発信し、さらなるインバウンドのウイングを拡大していきたいと思っております。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 さきほど福岡で新たなレストランが開業するなど、ラグジュアリーマーケットへの対応を進めているという話を述べた中で、アジアベストレストラン1位のシェフがレストランを共同開業するという話をいたしました。 日本ではレストランの評価としてミシュランが大変有名ですが、それとは別に、レストランの格付として世界ベストレストラン50というランキングがあります。ワールド50ベストレストランというんですけども、どのような仕組みになっているかと言いますと、世界を26の国と地域に分けて、それぞれに40人の投票者、いわゆる審査員を置いています。 審査員は全員覆面で26の国と地域に40人ですので、全世界で1,040人の投票者がいます。それらの審査員投票者が1年に一度、インターネット上で、あなたにとって世界一のレストランは、どこかという投票を行います。 それで、全部の集計からイギリスの本部が投票の数が多い順にレストランを並べてランキングをつくるという、非常にシンプルな仕組みです。 投票の仕組みも非常に面白くて、3分の1がシェフやレストランオーナーなどのレストラン関係者、次の3分の1がフードジャーナリストや料理評論家などのメディア関係者、最後の3分の1がホームページにウェルトラベルドグルメと書かれているんですけれども、最近のはやりの言葉で言うと、フーディーズと呼ばれている人たちです。プロの料理人でもジャーナリストでもないんですけれども、趣味で世界中を食べ歩く人たちというのがいます。お金と時間と体力があって、食べるために旅をするという人が、世界中にはたくさんいるそうです。このように様々な特色を持った方々が審査に参加をしています。 余談になるんですが、このフーディーズと呼ばれる人たちは、横のネットワークも非常に強くて、それぞれがインスタグラムであったり、Facebookであったり、SNSを通じて情報を拡散していくんで、世界中のホテルであったり、レストラン、ブランドや地域などが、このフーディーズをどのように取り込むのかというのが、今、重要なポイントになってきているという話を伺ってます。 世界ベストレストラン50は、昨年が15周年で、今年で16回目を数えるアワードです。アカデミー賞の授賞式みたいなのをイメージしていただければいいと思うんですけれども、このアワード、表彰式には、世界中から受賞者の50のレストランのシェフが集まります。もともとはロンドンで10年ほど開催していたそうなんですけども、現在は世界各国の都市が持ち回りになって、各都市がこのアワードをオリンピックのように誘致するようになってきました。 2年前がニューヨークで昨年がオーストラリアのメルボルン、今年がスペインのビルバオです。アジアベストレストラン50というのも同じ系列であって、これは今年はマカオで開催されるということです。 メルボルンで開催した際に広告効果を試算したところ100億円ほど広告効果があったという話です。このアワードには、世界中からトップシェフやメディア関係者が集まるので、そこで料理が振る舞われます。そこで振る舞われる料理や食材のPR効果というのは、非常に大きいものがあります。 日本ではまだ、開催されておりません。ポストラグビーワールドカップポストオリンピックパラリンピックインバウンド戦略の一環として、このアワードを大分に誘致することも一つの案かというように考えております。 国民文化祭、障害者芸術文化祭、そして、ラグビーワールドカップの開催が間近に迫ってきた今こそ、メガイベントの後の大分の施策をしっかりと考えていく時期が来ていると考えております。 知事も県議会議員も、今年が任期の最終年度になります。目前のメガイベントの準備に追われる時期ではあるんですけれども、ポストメガイベントの大分の在り方についても、議会と執行部で今後、しっかりと議論していければと思います。 次に、本県の人口減少対策について伺います。本県は平成27年に人口ビジョンを作成し、目指すべき将来の方向性を、「自然増と社会増の両面からの取組をこれまで以上に進めることで、2060年までの人口減少カーブをできる限り緩やかにし、さらに2100年には増加に転じさせる」としております。 あわせて、まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略を定め、「人を大事にし、人を育てる」、「仕事をつくり、仕事を呼ぶ」、「地域を守り、地域を活性化する」、「基盤を整え、発展を支える」の四つの基本目標のもと、大分県が目指す将来人口の目標値を達成できるよう、様々な取組を進めることとしています。 人口ビジョンとまち・ひと・しごと創生大分県総合戦略の策定から2年半が経過しました。この間、主に自然増を目指した対策として、子育て満足度日本一健康寿命日本一を掲げ、保育所の整備や保育料、子育てにかかる医療費の支援、減塩や運動習慣の取組指導、地域包括ケアシステムの展開などを県行政は進めこられました。また一方で、社会増を目指した対策として、「仕事をつくり、仕事を呼ぶ」ため、自動車関連企業をはじめとする企業誘致や、スタートアップセンターを中心とする創業支援、農林水産業の構造改革などを進めてきました。 さらに社会増を目指した直接的な対策として、県外からの転入者を増やすべく、県外事務所に移住コンシェルジュ移住サポーターを置いて、UIJターンに積極的に取り組み、平成29年度には移住者数が過去最高の1,084人に上ったと伺っております。 このように、県では自然増減、社会増減の両面で着実な取組を進め、数値的な成果もあげているところですが、平成29年10月1日時点での本県の人口は115万1,853人となり、前年からの1年間で7,781人減少している状況です。 これは人口ビジョンにおける人口減少カーブの想定の範囲内なのでしょうか。 この2年間総力をあげて人口減少対策に取り組んできた中で、目標である人口ビジョンに対して、現状をどう評価・分析し、今後どのような方策を講じていこうと考えておられるか、県の見解をお伺いします。 ○井上伸史議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 人口減少対策についての御質問をいただきました。 我が国では、これからしばらくは大幅な人口減少が見込まれております。このまま推移しますと、2053年には1億人を割って、今世紀末には6千万人を切るということを言われています。本県も同様に、早くも2035年には100万人を切り、今世紀末には46万人程度にまで減少する見通しであります。このため国では、今世紀末までに9千万人から1億人を維持するための長期ビジョンを掲げ、本県でも100万人程度の人口維持を目標とした人口ビジョンを策定いたしまして、国、地方あげて、地方創生に取り組んでいるところであります。 肝心の本県の人口でありますけれども、平成29年10月1日時点の115万1,853人に対して、人口ビジョンの目標は115万7,116人でありまして、残念ながらビジョンの人口減少カーブを5千人余り下回っております。人口減少への対策は容易なことではありませんけれども、何とか人口ビジョンとの差を埋めるように、自然動態、社会動態の両面で、知恵を出し、チャレンジを続けてまいりたいと思います。そうして、長期的には人口ビジョンの数字を達成するということを目指して頑張っていきたいと思っているところであります。 自然動態では、合計特殊出生率が上昇傾向にある中、出生数が減少しております。これは、若い女性の県外転出による減少、晩婚化、そして婚姻数の減少などが要因と考えております。 このため自然増対策として、多子世帯への応援や保育所の待機児童解消など、子育て満足度日本一の取組を充実させるとともに、出会いサポートセンターを設けて、出会いから結婚まで総合的かつきめ細かな支援をしていきたいと思っています。 自然減対策では、健康寿命日本一の取組が大事だと思います。おかげで県民の皆さんの関心も高まってきておりまして、県民運動としてより一層取組を広げていきます。 一方、社会動態のうち、転出抑制の面では、転出者数は全国でただ一つ、4年連続で減少しております。今後も経済界等と連携して、新卒者の県内就職率の向上を図っていきたいと思います。 転入促進の面では、昨年度の移住者数は1,084人と、初めて1千人を超えました。引き続き移住定住対策に力を入れてまいりたいと思います。この1,084人をさらに伸ばしていきたいと思っているところであります。中でも、転出超過数の半分が20から24歳の女性でありまして、地域別では3分の2が福岡方面であることから、福岡発着の女性向け移住体験ツアーに加えて、新たに女性を対象とした大規模移住相談会を福岡で開催します。 さらに転出抑制、転入促進の両方を後押しするため、好調な企業誘致に引き続き努力して、魅力ある仕事を呼び込んでいきたいと思います。 人口減少対策は長い道のりであります。市町村と力を合わせながら、粘り強く、そして息長く取り組んでいきたいと考えております。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 お手元に大分県の世代別男女人口という資料をお配りしたんですけど、そちらをごらんください。 このグラフの中で赤でプロットをしているんですけども、大分県の世代別、それぞれの10代、20代といったぐあいの世代別の男女それぞれ分けた人口を示したものです。少しマクロの観点からの話になるんですけども、20代の女性の人口が、このグラフを見ると、ほかの世代と比べて少なくなっていることがよく分かります。よくストックとフローの関係で例えられるんですけども、ストックである現状の人口のみならず、さきほど、知事からの御答弁にもありましたように、転入出による社会増減というフローの観点からも、この20代女性は転出などで大分県を去る社会減が最も多い世代となっております。 日本産科・婦人科学会によれば、女性の妊娠に適した期間は25歳から35歳前後ということですので、20代女性の社会減は、出生数の減少にもダイレクトにつながって、自然増減にも大きな影響を与えるのがこの世代の女性と言えると思います。 この20代女性の社会減少対策こそ、さきほどの御答弁でもありましたが、私も問題意識は同じで、本県の人口減少対策においては、最優先に対応する必要があると考えております。 現状、女性が多いある専門職種においては、専門学校に通っている段階から、関西であったり、福岡の病院や施設が月5万円といった高額の奨学金を出して、数年後の卒業後の進路が既に県外で囲い込まれているというケースも耳に入ってまいります。 20代女性の社会減に歯止めをかけるどころか、逆に見えないところで一層人材を吸い取られていく動きというものが加速をしております。 本県としてもですね、この世代の20代女性に向けて、さらに思い切った対策が必要になってくるんではないかと考えております。 この人口減少問題は、他国にも解決事例が少なく、先進国の中でも我が国が先頭に立って直面をしている問題です。 トライアンドエラーを覚悟して取り組まざるを得ず、県が掲げた人口ビジョンの達成に向けて、うまくいかないことを責めるのではなくて、執行部と県議会が一体になって、問題意識を共有して、次々と打ち手を考えていかなければいけないと考えております。 どうぞよろしくお願いいたします。 次に、大分県の護岸対策について伺います。 大分臨海工業地帯は、製鉄業や石油精製業等を中心とした企業が立地し、国内外とサプライチェーンを形成し、本県のみならず我が国の経済、産業を支えています。そして、その背後には県都大分市の市街地、住宅地が広がっており、市人口の約5分の1にあたる9万5千人が生活をするとともに、学校、病院、行政機関などが存在しています。 一方、大分市は南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域となっており、今後30年以内に70から80%の確率で起こり得る巨大地震からの津波に備え、大分臨海工業地帯の後背地に暮らす人々の生活や働く環境を守るための護岸対策は喫緊の課題です。 こうした状況を踏まえ、広瀬知事をはじめとする県や県議会、県選出の自民党国会議員による国への要望活動が実り、平成29年度に、大分港の護岸整備が国の直轄事業に採択されました。 この大分港海岸における直轄海岸保全施設整備事業は、全長約21キロの護岸のかさ上げ、補強を事業費300億円かけて行う大型工事であり、平成29年11月に着工式が行われ、平成31度以降、護岸工事が本格化されます。 しかし、今回整備される護岸は大分臨海工業地帯のうち大野川から西までとなっています。大野川から東の地域は護岸の所有が民間で、この事業の対象とはならないのでしょうが、大きな津波が襲う状況では、民間所有の護岸エリアも壊滅的な被害を受けることが予想されます。 大野川から西の護岸整備事業が始まったばかりではありますが、大野川から東の護岸強化についても、同様に護岸のかさ上げや補強の必要があると思いますが、県の考えを伺います。 ○井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 大分港の護岸対策について、お答えいたします。 南海トラフ地震や津波などに備えるための大分港の護岸対策は、大野川の東側も含めて大事なことと考えております。大野川東側の埋立地の護岸は、そのほとんどを民間企業が所有しております。これらの民間企業が行う護岸強化に対しては、国において、無利子貸付けと固定資産税の特別措置などの支援制度があります。しかし、この制度の適用には、非常災害時に必要な石油製品などの緊急物資を運搬する航路沿いの民有護岸に限られるということなどの条件があります。 そのため県では国に対して、対象となる条件の緩和など、支援制度の拡充を要望してきており、今後も実現に向けて努力してまいります。 なお、大分港の護岸対策については、現在、昨年度事業化された直轄海岸事業に重点的に取り組んでおりますので、今後も、この早期完成に向けて働きかけてまいります。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 この度6号地の一部が売却され、企業誘致が決まりましたが、まだ、売却用地が残っていることも考えますと、大野川から東の護岸強化は、今後の企業誘致にも関わってくる問題であると考えます。 また、同エリアの背後地となる大在、坂ノ市地域、知事の熱烈なファンも非常に多い地域なんですけれども、こちらの地域は大分市のみならず、大分県でも数少ない将来にわたって人口増加が予想されている大変に重要な地域です。 この地域に住む方々の安全・安心という観点からも、国への働きかけもスピード感を持って進めていただく必要があると考えております。国への要望活動のスピードアップについては、今後、どのように行っていくつもりか、お考えをお伺いいたします。
    井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 さきほど申しましたように、耐震とか、護岸に対する様々な支援制度があります。ただし、これの中身を見ますと、どうも航路沿いとかいう条件がついています。大分港を見ると、北側が別府湾に開けており、航路という定義に当てはまらないという事情がございます。 しかしながら、南海トラフ地震の推進地域になっていますし、そういった意味では重要な港湾、海岸と考えておりますので、こういったところを強く訴えていきたいと思います。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 この問題については、我が自由民主党会派も、この春の要望活動から要望項目に取り入れて、積極的に活動を始めております。 繰り返しになって大変恐縮なんですが、この大野川から東の護岸強化は、今後の企業誘致に影響してくるのみならず、県下でも貴重な人口増加エリアである大在、坂ノ市地域の住民の生命、財産の保護にも関わる問題ですので、一層のスピード感を持って進めていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。 それでは、次にJR九州との連携について、伺います。 本年3月、大分市ではスマートサポートステーションの導入という駅の無人化が大分市民の間で大きな議論を呼びました。一日の乗降客数が3千人を超える高城駅、鶴崎駅、大在駅の3駅のうち、鶴崎駅と大在駅については県費も投入して、現在バリアフリー化が行われており、高城駅についてもバリアフリー化に向けて協議中と聞いていますが、これらの3駅もスマートサポートステーションによる無人化の対象になっております。 鶴崎地区では、街を貫く国道197号の4車線拡幅が行われており、これまでの商店街の有様を変える大きな転換点が訪れています。当初、鶴崎駅のバリアフリー化が決まった際に、地元では、これを機に鶴崎駅を中心とした市街地再編に向けての第一歩になるのではと期待が高まりましたが、その後発表されたスマートサポートステーション導入による無人化の動きは、その期待を大きく裏切るものでした。 その一方で、今回の議論が出る前に、平成28年第2回定例会の一般質問でも申し上げたとおり、鉄道事業においては数百円という限られた運賃収入で数十億円から数百億円を要する巨額な建設投資の回収どころか、運営経費の回収もおぼつかないという企業経営上の問題点があります。黒字が出ている不動産事業や流通、外食事業で鉄道事業の赤字部分を補填し続ければよいのではないかという意見もありますが、JR九州が上場し、株主の半分近くが外国資本になってしまった以上、そのような赤字事業の改善を行わなければ、経営陣が株主代表訴訟を受けるリスクを抱えることになります。 JR日田彦山線の復旧問題では、工事費用の問題をクリアできれば着工可能とする県をはじめとした自治体側と、復旧後の運行維持策も条件とするJR九州の間で意見が平行線をたどっております。このことからも分かるように、JR九州に対して県が要望を伝えるにしろ、行政と民間企業の関係では、発言の影響力に限界があります。 株式の1%の取得で議案提案権を得ることが可能になりますが、まちづくりのパートナーとしても大変重要なJR九州と密接な関係を構築し、市場原理という観点からも一定の影響力を持つため、JR九州の株式を県が保有することも一案と考えます。JR九州の株式取得について、メリット、デメリットも含めて、総合的に検討されてみてはいかがでしょうか。 県単独で株式の取得費の負担が厳しい場合は、九州各県や沿線の市町村と共同で株式を保有する方法もあります。この点についても、あわせて御見解をお伺いいたします。 ○井上伸史議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 JR九州の株式取得についてお答えいたします。 本県に四つある鉄道路線の維持や安全性、利便性の向上のためには、JR九州と連携して取り組むことが重要だと考えております。その連携の意思を示すために、JR九州の株式を取得するということは、一つの手法ではあると考えております。 同社の株式の状況を見てみますと、先週6月15日時点でありますけれども、時価総額が約5,740億円に上っています。株主として一定の権限を行使するためには、本県単独でも、あるいは、他の自治体と共同しても、多額の予算が必要となります。また、取得した場合は一株主でありながら、例えば、赤字路線の維持など、株価を低下させる提案を行う立場になります。この場合、県の財産を減少させることにもなるため、株主と県の立場が相反する恐れがあり、なかなか難しい問題だと考えております。 鉄道路線の維持や安全性、利便性の向上のために、県として果たすべき役割は、まずは鉄道利用者である県民の代表として、県民の声をJR九州に直接伝え、働きかけを行っていくことであると考えております。今後もJR九州と連携を深めながら、しっかりと対応をしてまいります。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。 株式を保有する場合のメリット、デメリット、今、御説明をいただきました。それ以外にも、まだまだいろいろとメリット、デメリット、調べれば出てくるかと思います。この点についても、また、今後とも御検討を深掘りしていただければと思う次第でございます。 次に、JR九州による地域の活性化について伺います。 大分駅の再開発を振り返ると、駅ビルをはじめJR九州による地域の活性化への貢献は非常に大きなものがあります。駅周辺の再開発によって、駅自体の利便性が高まることで鉄道事業の乗客増加にもつながる効果も見込まれます。 さきに述べたように、JR九州は鉄道事業以外にも不動産事業や流通、外食事業を有しており、これらの事業部門に対する地域の期待は高いものがあります。 公共サービスの維持の観点から、JR九州に対して、鉄道事業への様々な要請は行われていると思いますが、不動産事業や流通・飲食事業を有する点を生かして、高城駅、鶴崎駅、大在駅などといった中規模の駅周辺における商業テナントビルの整備など、地域の活性化につながる取組に対する要請は行われているのでしょうか。駅周辺の利便性が高まることは、乗降客の増加にもつながり、JR九州にもメリットが見込まれることから、このようなアプローチも必要であろうと考えますが、現状と県の御見解を伺います。 ○井上伸史議長 神崎商工労働部長。 ◎神崎忠彦商工労働部長 お答え申し上げます。 JR九州には、大分駅周辺の再開発で、地元と一体となったにぎわいづくりや地域の活性化に大きく貢献していただいております。議員御指摘の鶴崎駅等周辺の商業地域については、地域の購買力のほか、例えば、大友宗麟の時代から伝わる鶴崎踊や加藤清正公が整備した肥後街道など、域外消費を積極的に取り込める豊かな歴史と文化がございます。 県では今年度、こうした地域の魅力を生かし、域外からの誘客と消費獲得を目指す商店街等の取組に対し、市町村とともに支援をしております。なお、本年3月のダイヤ改正を受け、先般、九州地方知事会名により、鉄道事業関係とあわせて、「九州・山口地域の重要なパートナーとして、まち・ひと・しごとの創生に向けた取組を強力に進めることを期待する」旨、JR九州に対し要請を行い、「一生懸命取り組んでいく」との回答を得ています。 JR九州には、要請の趣旨を受け止めていただき、地元商店街の取組等と連携し、事業活動を通じた地域の活性化に貢献いただくよう期待する一方、県としても地元商店街等の振興に引き続き取り組んでまいります。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 ただいま質問をしましたJR九州による地域の活性化についての質問とあわせて、中規模駅周辺の再開発についてもお伺いします。 さきほど質問した高城駅、鶴崎駅、大在駅といった中規模駅の周辺の再開発については、どのようにお考えでしょうか。 県や大分市のみならず、JR九州の不動産部門とも連携することで、中規模駅周辺の再開発のモデルケースになるのではないかと考えておりますが、見解をお伺いいたします。 ○井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 中規模駅周辺の再開発について、お答えいたします。 県や大分市などは、魅力あるまちづくりを進めるため、大分駅周辺をはじめとする再開発を行ってまいりました。その手法には、主に土地区画整理事業と市街地再開発事業がございます。御指摘のJR高城駅周辺や鶴崎駅南側、大在駅北側につきましては、道路などの公共施設の整備と同時に宅地の区画形状を整える土地区画整理事業により既に整備を完了しております。 一方の市街地再開発事業は、密集した市街地の一体的・総合的な整備を図るために細分化された敷地を統合し、共同建築物への建て替え等を行うもので、高度な土地利用を行うことが前提となっております。加えて、こうした再開発の事業主体は、個人や法人、組合などの様々な形態がありますけれども、いずれの場合でも関係機関との連携や、都市計画の決定、変更をはじめとする周到な準備が必要になります。 現時点では、これらの駅周辺の再開発事業の必要性は低いと考えますが、今後、土地利用の変化や地域における機運の高まりなど、こういった動向を見守っていきたいと考えております。 ○井上伸史議長 衛藤博明君。 ◆衛藤博昭議員 九州では、あまり見られないんですけど、関東では私鉄と呼ばれる東急電鉄や小田急電鉄などの民間鉄道事業者も含めまして、JR東日本などの鉄道事業体は、鉄道事業と不動産商業開発をセットで進めてきました。 鉄道の敷設とあわせて沿線駅の周辺に商業施設を造り、不動産開発を行い、沿線住民を増やして、鉄道の乗降客を増やすというビジネスモデルを彼らは開発してきました。 関東の住みたい町ランキングで、近年、武蔵小杉という町の人気が急上昇をしました。私も学生のころ住んでいたんですけれども、今のように人気が出る前の時代です。もともと乗換えの利便性のよい駅ではありましたが、現在のような勢いを決定づけるようになったのは、2008年に地上49階建てのタワーマンションが竣工したのがきっかけであるというように言われております。 大分県の土地の価格を見ると、大分駅南のエリアを中心に価格が上昇を続けています。これは大分駅の再開発が非常に大きく寄与していることは議論を待たないと思います。 このように地域の発展における再開発の影響は非常に大きいものがあります。行政が旗を振り、民間活力を呼び込んだ結果によるところも大きいです。 誤解を招くといけませんので、あらかじめ断っておきますが、私は大分駅のような大規模再開発を高城駅や鶴崎駅、大在駅でも行うべきだと言っているわけでございません。現在の3駅に共通するのが、中規模駅でありながら、駅に直結した店舗がほとんどなく、駅周辺の商業施設も非常に限られているということです。また、鶴崎駅と大在駅は、駅前にバスロータリーもなく、バスアンドライドの機能もありません。 その一方で、例えば、鶴崎駅ですが、旧鶴崎市エリアは8万人弱の人口を有しております。これは県内市町村の中では4番目に人口が多い佐伯市を超える数です。市役所の支所や学校、病院といった基礎的な社会インフラが整備されており、ベース人口と基礎的な社会インフラとった再開発のポテンシャルは非常に高いものがあると確信しています。 大分駅のような大規模な再開発ではなく、行政が旗を振って、バス会社も巻き込んでバスロータリーの整備など、公共交通体系の見直しを行って、JR九州の不動産商業部門といった民間活力もしっかりと取り込み、ベース人口に合わせた再開発を行っていくことが地域の発展には欠かせないものであると考えております。 今日4項目、質問させていただいたんですけども、前半の質問事項に関する御答弁は非常に前向きなものが多かったんですが、後半に行くにつれ、非常に塩辛い御答弁になってきました。特に4番目のテーマのJR九州を巻き込んだ地域の再開発につきましては、民間投資を呼び起こして、地域を発展させていくという経営者的な視点があまり感じられないというのが、正直なところです。 私、これ別に商工労働部に答えてくださいとか、土木建築部に答えてくださいとか、最初から言っているわけではありません。これにふさわしい答弁を出してくださいと言ったら、商工労働部、土木建築部から出てきたものです。この答弁が非常に縦割りであったように感じております、正直言って。 商業サービスの話なんですけれども、商工労働部、商業サービス課を持っておられます。今の話ですと、商業サービス課じゃなくて、商店街サービス課じゃないのかというような疑問も非常に強く感じる御答弁でございました。 この民間活力を巻き込んだ地域の再開発は、今後の地域の発展に絶対に必要です。今回は、非常に答弁が後ろ向きでしたが、今後も諦めずに地域の活力の発展のために、今後もこの議論を続けていきたいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○井上伸史議長 以上で、衛藤博明君の質問及び答弁は終わりました。原田孝司君。  〔原田孝司議員登壇〕(拍手) ◆原田孝司議員 皆さん、おはようございます。 30番県民クラブの原田孝司です。傍聴に来ていただいた方々には深く感謝申し上げます。 知事をはじめ執行部の皆さん方には、答弁をよろしくお願いいたします。 では、質問を始めます。最初に世界温泉地サミットについて質問いたします。 5月25日から27日にかけて別府市のビーコンプラザにおいて、世界16か国17地域から多くの方々の参加のもと、世界温泉地サミットが開催されました。 会場は、温泉の熱い湯にも負けない熱気に満ちていました。今日はサミットで配布されたピンバッチを付けてきました。最近はピンバッチおじさんになっています。 参加されたパネラーの方々が自国の温泉を紹介するとともに、このような温泉に関する世界規模の会議が初めて開催されたことに対し、おんせん県おおいたへの感謝を語る度に、このサミットの開催は大きな意味があったと感じました。 この大会の誘致や準備、当日の運営に尽力された関係者の皆様方に、県民クラブを代表して深く敬意を表しまます。 実行委員長を務められた広瀬知事には、この世界温泉地サミットの成果をどう総括し、今後、その成果をどう生かしていくのか、お考えを聞かせてください。 以降、対面席から質問いたします。  〔原田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○井上伸史議長 ただいまの原田孝司君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま原田孝司議員から、世界温泉地サミットについて御質問をいただきました。 世界中の人々が温泉の魅力を理解して、利用していただくことにより、世界の温泉地がさらに活性化し、発展していくことを期待いたしまして、世界温泉地サミットを開催した次第であります。 世界16か国17地域から温泉地のリーダーをお迎えし、国内温泉自治体や関係団体等から千名を超える参加をいただき、実り多い国際会議になりました。 原田議員にも当日、御来場いただきました。この場をお借りいたしまして、県議会はじめ多くの県民の御協力に対して、深く御礼を申し上げたいと思います。 サミットでは、観光、医療・健康・美容、エネルギーの各分野で、温泉の新たな可能性について活発に議論し、その結果をサミット宣言として取りまとめたところであります。 今回のサミットの成果としては、大きく三つあると考えております。 一つは、温泉への理解が進んだことであります。世界の温泉地のリーダーから各分野での幅広い活用について、生き生きとした紹介がありました。私自身、示唆に富んだ話を聞くことができまして、温泉の将来について、非常に大きな可能性を感じることができたところです。 二つは、温泉資源を活用した温泉地の活性化ということであります。サミットでは、温泉をめぐる諸課題に対して、「持続可能性」や「地域の特性に応じた差別化」、あるいは「クア(療養)からウェルネス(健康・美容)へ」と、利用がシフトしているという話、あるいはまた、「温泉地相互や異業種とのコラボレーション」など、今後、我々が取り組む方向のヒントをいただいたと思っております。 それらを各々の温泉地に取り込み、具体化していくということで、温泉地のさらなる活性化につながるものと考えています。 三つは、「おんせん県おおいた」を国内外へ発信できたことであります。 サミット開催に合わせ、国内外のメディアが県内各地を取材しました。特に海外からは、6か国18名のメディア関係者が来県し、サミットの議論のほか、温泉はもちろん、県内各地の自然や歴史文化、食などを取材いただきました。早速、ロイター通信をはじめ、スペインやイタリア等でも情報発信されており、大きなPR効果が期待できます。 世界初の温泉地サミット開催地として、本県が世界に認められるとともに、ラグビーワールドカップや2020年東京オリンピックパラリンピック等に向けた誘客にもつながるものと考えております。 サミット宣言の結びには、世界の温泉地のリーダーが、今後も情報共有や議論をするため、サミットの開催を継続することも盛り込まれました。 今回得られた世界とのネットワークや産学官連携などを生かし、世界の国々との温泉地交流や、温泉をツールとした新たな取組などを進めて、持続可能な温泉地の発展を目指してまいりたいと考えているところであります。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 ありがとうございました。 私も世界温泉地サミットの開催は、おんせん県おおいたにとって、とても大きなアピールができたと考えています。それだけに世界温泉地サミットの今後はどうするのかをお尋ねしたいと思います。 次回も、できれば大分県でという思いはあるのでしょうが、なかなかそうもいかないのかもしれません。しかしながら、おんせん県おおいたとして、この世界温泉地サミットへの関わりを大事にしてほしいと考えています。 例えば事務局に職員を派遣するなど、世界温泉地サミットに主体的に関わりを持っておくなど、継続した取組があってもいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○井上伸史議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 私も実は、2回目以降はどうなるかなということを心配をしていたところでありますけれども、参加者から自然とこれからも計画していこうという話が出まして、サミット宣言にもああいう形で盛り込まれたところでありまして、私にとっても、大変意外性があったし、面白かったことであります。 2回目の開催地につきましては、まだ決まっておりませんけれども、どこか手をあげてくれれば、第1回の開催地として、もちろんこれまでの経験をしっかりとつないでいきたいと、いろいろそのために必要な汗はかいていきたいと思っているところであります。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 よく分かりました。 続いて、温泉利用型健康増進施設について質問いたします。 この世界温泉地サミットの大会で、私は第二分科会、医療・健康・美容をテーマとした分科会に参加しました。この分科会では、温泉の効能のエビデンス、つまり臨床結果などの科学的根拠について、多くの方が語られていました。 一昨年ですか、竹田市の温泉療養文化館御前湯が連携型施設、温泉施設として、同じく竹田市直入のB&G海洋センターが、連携型施設、運動施設として、それぞれ所得税の医療費控除の対象となる温泉利用型健康増進施設として、厚生労働省から認定を受けました。県内だけでなく、九州でも初の認定でした。 温泉利用型健康増進施設は、全国で21施設が認定を受けています。実は別府市においてもこの認定を目指していた施設があり、先を越されたという思いも若干しているのですが、おんせん県おおいたとして、九州で初の認定は大いに歓迎すべきものと考えています。 この温泉利用型健康増進施設は、温泉利用指導者の設置など、厚生労働省が定める一定の基準を満たし、温泉を利用した健康づくりを図ることができる施設のことをいいます。 厚生労働省から認定された施設であることの証明として、それぞれの施設にはマークが掲出されており、認定施設を利用して温泉療養を行い、かつ要件を満たしている場合には、施設の料金、施設までの往復交通費について所得税の医療費控除を受けることができます。これは現代版湯治客とも言い換えることのできる長期滞在型観光客への大きなアピールになるのではないかと考えます。 温泉利用指導者の資格を得るためには、保健師、管理栄養士、健康運動指導士などの資格を持つ方が8日間の講習を受ける必要があります。認定を受けるために大きなハードルでもあると考えられますが、おんせん県おおいたとして、この温泉利用指導者の資格者の拡充を含めて、温泉利用型健康増進施設の整備促進を、この世界温泉地サミットをきっかけとして、県をあげて取り組むべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。 ○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。 ◎長谷尾雅通福祉保健部長 議員御指摘の温泉利用型健康増進施設ですけれども、温泉を利用した病気療養、健康づくりを目的としております。この病気療養の利用におきましては、医療費控除を受ける方が傷病者であり、所得税納税者に限られております。医師が作成する温泉療養指示書とか、温泉療養証明書が必要であることなどから、手続がかなり繁雑で、竹田市においても制度の利用者は極めて少ない現状です。 一方で健康づくりや疾病予防という理由においては、温泉利用指導師など資格を持ったスタッフが、利用者の体力や健康状態に応じて、温泉を利用した運動プログラム、あるいは地域の運動施設、ウォーキングコース等を活用した健康増進プログラムを提供するもので、竹田市内外からの利用者も大変多いと伺っております。 さきのサミットでも、温泉の利用がリウマチなど、特定の疾患の治療を目的とした療養に加えて、生活習慣病の予防や美容等、健康増進へと拡大していることを確認したところです。 県としては、まずは既存の温泉施設を核に、近隣の運動施設等との連携を促進するほか、温泉を活用した健康増進プログラムを開発する地域を支援していきたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 先日、別府税務署を訪ね、医療費控除の対象となる範囲について、お話を聞いてきました。この事案について、既に国税庁から税務署へ要綱が届いてました。 私は、さらに滞在費も控除となりませんかと聞くと、やはりそれは厳しいという判断をされていました。今回、施設使用料や交通費が対象となれば、大きなメリットだと思い、この質問をしたんですが、答弁をお聞きすると、なかなかやっぱり手続の煩雑さも含め、有効な手立てにはなっていないのかなというふうに考えています。 では、若干視点を変えて質問しますが、例えば、さきほど知事から、今回の温泉地サミットで、これからの取組のヒントも聞いたというふうにありました。世界温泉地サミットの分科会で、これからの温泉利用のトレンドとして、1週間程度のウエルネス、いわゆる健康増進と美容としての温泉利用が紹介されていました。環境省でも、新・湯治として温泉地活用化の方針を提案しているとの報告がありました。 大分県として、どのように温泉利用を進めていくのが有効だとお考えになるのか、ぜひお尋ねしたいと思います。 ○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。 ◎長谷尾雅通福祉保健部長 現在、議員の地元の別府市で、温泉施設の一つが、ある申請をしております。 健康増進施設には、実は二つのタイプがございます。この別府のパターンはさきほどの竹田市と違い、もう一つの形である温泉利用プログラム型という形です。いわゆる医療費控除ではないタイプですけれども、この認定を国に申請しておりまして、今年秋頃までには認定される見込みと伺っております。 このように、さきほどの竹田市の取組もそうですし、別府市の取組も大変大事なことでございまして、温泉地に行くことがウエルネス、日本語で言うと健康増進や美容につながるという効果を、利用者にとって身近なものにしていくということが大変重要じゃないかと思っております。懐を広げるような動きになろうかと思います。 サミットを契機にして産学官の連携で、入浴者自身が感じた実体験に基づく温泉効果をソフトエビデンス、緩やかな科学的根拠と言っておりますけども、こういったものを位置付けて蓄積し、発信する仕組みづくりに取り組むことが、温泉の広がりを持たせるという意味で、大変重要じゃないかと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 よく分かりました。 ぜひそういったことをアピールしながら、また新しい取組を続けていただきたいと思います。 続いて災害対策について質問いたします。 今朝大阪を震源地として、とても大きな地震が起きたと聞いています。とても心配であります。 中津市耶馬溪町で起きた斜面崩壊では6名の方々が亡くなられたことに、県民クラブを代表しまして衷心よりお悔やみを申し上げます。 また、一日も早い復旧を祈念いたします。 この災害については県民クラブの馬場議員も後日、質問することになっていますので、私は災害に関わり、最近よく出てくる事前復興という問題について質問いたします。 事前復興は、災害が発生した際のことを想定し、被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進することと定義されています。減災や防災まちづくりの一環として行われる取組であり、具体的には災害弱者対策、建造物の耐震性・耐火性の強化、道路拡張、防災拠点の設置、そして災害に強い地域のグランドデザインなどの事前計画立案とその推進だと考えます。 先日、テレビ報道で、事前復興を進めている徳島県美波町の取組が紹介されていました。テレビの中で、美波町では住民の声を聞いて、事前の復興計画を作り共有しておけば、復興のスピードも速くなると言われていました。 現在、東日本大震災からの復興においても、計画どおりになかなか進まない要因に、住民のコンセンサスを取るのが難しいということが言われています。事前復興の重要性は、まさに事前のコンセンサスの確認だと考えます。 さきほど紹介した美波町では、津波被害があったときの移転先の用地買収も事前に検討しているとのことでした。本県で近い将来発生が予想されている南海トラフ地震を見据えたときに、備えの一つとして重要と考えますが、知事の見解をお聞かせください。 ○井上伸史議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 災害の事前復興についての御質問をいただきました。 本県は、これまで幾度となく大規模な自然災害を経験してまいりましたけれども、近い将来、南海トラフ巨大地震は必ず来るという覚悟で、しっかりと備えていかなければならない課題であります。 美波町で進められている事前復興としての試みは、何度も津波被害に苦しめられた漁村集落ならではの大変貴重で先進的な取組であると思います。しかしながら、それぞれの地域は、それぞれ異なる災害リスクを抱えておりまして、まずは、それぞれの地域が、その災害リスクを明らかにし、対策を立てて実行し、不断の見直しを行っていくということが大事ではないかと、まさに、そういったものが、国土強靱化の取組として考えられ、進められているところであります。 国土強靱化の目標は、何よりも人命を守り、県民の財産や公共施設の被害を最小化し、最悪の事態から速やかに復旧復興を実現するというもので、事前復興の理念につながるものと考えております。 こうしたことから、県では、有識者の意見も取り入れながら、度重なる水害や土砂災害、南海トラフ巨大地震等により想定されるリスクシナリオに基づいた脆弱性の評価を行いまして、大分県地域強靱化計画を策定しているところであります。 この計画に基づき、ハードソフト両面から事前防災・減災対策を推進しております。ハード面では、ものづくり立県の心臓部や後背地の生命財産を守るという大分臨海部コンビナート護岸の強化をはじめ、緊急輸送道路における橋梁の耐震化などを重点的に進めているところであります。 市街地におきましては、防災拠点へのアクセス強化を図る街路整備や建築物の耐震化等、災害に強いまちづくりにも取り組んでおります。 ソフト面では、自助・共助の精神を県下全域に一層浸透させるため、自主防災組織等が行う防災活動への助成などを推進しています。 また、県内の市町村でも、津波による大きな被害が想定される佐伯市の中心部では人工の高台整備を進めております。 とりわけ、米水津の宮野浦地区でありますけれども、「むらの覚悟」と名付けて、全員が生き残れるために、地元住民が何度も会議を重ねて、背後の高台に二次避難所を整備し、備蓄倉庫や飲料水を確保して、避難訓練や宿泊体験などを繰り返し実施しております。 このように街なかや周辺部、立地状況や地形等により災害リスクは異なりますので、まずは、地域住民の声を聞きながら、市町村単位で強靱化計画を策定し、地域の特性に応じたよりきめ細かな対策に取り組んでいただくということが大事ではないかなと思っております。 今後とも、市町村の計画策定も支援しながら、強靱な県土づくりに取り組んでいきたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 ありがとうございます。 知事の言われるように、私も自治体の規模が小さいほど、住民のコンセンサスを作りやすいのだと思います。その点からも、私も、やはり事前復興を進めるのは基礎自治体だろうと考えています。ぜひとも、その事前復興に取り組むという基礎自治体があれば、県はその支援をしていただきたいと思っています。 続いて、災害復旧基金について質問いたします。 私は、災害復旧を目的とした特定目的基金の創設を提案します。具体的には財政調整用基金から災害復旧基金を独立させるというものであります。災害が起きてから個別に補正予算を組んで対応すると、議会の議決が必要なため支出まで時間がかかりますが、災害復旧用の特別会計があれば、当初予算で復旧費は包括的に議決されていれば、その後は災害が起きた際の個別支出には議決を必要とせず、より迅速に執行することができると考えます。 東京都品川区では、一昨年度にこの災害復旧特別会計を新設し、昨年度から執行が可能となっています。自治体が特別会計を新設するには財源の裏付けが必要ですが、品川区では繰越金15億円を充て、災害復旧基金を新設しています。首都直下地震など激甚災害が発生した場合、公共建築の復旧に対する支援の遅れが想定されることから、壊れた橋の修復など、緊急性の高い建築物の迅速な復旧に同会計から支出するとしています。 私は昨年度の第3回定例会の代表質問で、財務省からの「財政調整用基金に対する考え方」について質問しました。いくつかの自治体で、財政調整用基金を抑え、特定目的基金への繰入れを進めていくことの検討を行っているところもあると聞いています。 これまで知事は財政調整用基金について、標準財政規模の10%を目標として確保していきたいと、繰り返し述べられていました。この考え方も含め、財務省を納得させることのできる財政調整用基金の在り方を再構築する時期にきているのではないかと考えますが、財政用調整用基金の在り方もあわせ災害復旧基金の創設について見解をお聞きかせください。 ○井上伸史議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 災害復旧基金についてお答えいたします。 地方公共団体は、原則として赤字地方債を発行できないため、災害や経済不況などで歳入不足が生じる場合には、財政調整用基金を取り崩して対応することが必要であります。 本県におきましては、これまでも三位一体の改革に伴う財源不足や昨年の九州北部豪雨等について、財政調整用基金の取崩しにより対応してきたところであります。こうした過去の基金の活用の状況も踏まえ、安定的な財政運営には標準財政規模の10%を財政調整用基金として最低限保有しておく必要があると考え、行財政改革アクションプランのもと、その確保に努めているところであります。 一方で議員御指摘のとおり、災害に迅速に対応するための予算的な備えは必要だと考えております。そのため本県におきましても、これまでも当初予算において、議員御提案の災害復旧基金という形ではありませんが、災害復旧費として約114億円、災害復旧調査費等で約5億円を計上するなど、必要な備えをしているところであります。 今後とも、災害へ迅速に対応するための予算確保の在り方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 実は、この質問の意図は、やはり財務省の考え方に対しての対応なんです。国の予算編成時になると、国の借金が増える中、財務省側が地方には余裕があるとして、地方交付税の削減をちらつかせて地方とぶつかるとの報道が毎年のようにされています。 昨年の第3回定例会の際に、代表質問でこの件の質問をした際には、当時の尾野総務部長は「地方が努力して計画的に確保してきた基金について、単に残額が増加したことをもって、国が地方交付税の削減を図ろうとするならば、断じて容認できないと考えています」と言われていました。 和田総務部長、財務省のこのような考え方に対して、地方自治体は特別な対策は必要ないとお考えでしょうか。それともどのような対策が必要だとお考えでしょうか。お聞かせください。 ○井上伸史議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 地方公共団体全体においては、この10年間で約8兆円基金が増えているという状況です。その8兆円の原因を分析しますと、一つは東京都等の不交付団体が増えているという状況があります。これについては税制の問題もございますので、偏在性の小さい税体系の構築、そういった必要があろうと考えております。 それ以外のものとしては、公共施設の老朽化、そういったことについて、将来的に備えは必要だということでございます。 こういったものにつきましては、有利な地方財政措置が現在講じられておりますので、こういったものの活用を進めていくことが必要だと考えております。 いずれにしても、8兆円増えていますので、何のために増やしているかということについて、しっかりと説明責任を果たすことが重要です。その点につきまして、骨太の方針2018でも示されておりますので、そういった点につきましては、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 よく分かりましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 では、教育行政について質問いたします。 最初に教育現場の人手不足について、質問いたします。 私が教育現場に出ていたのは、もう10年以上前になります。当時も人手不足の問題がありましたが、今のようにひどい状況ではなかったと感じています。とにかく、どこの学校も臨時や非常勤の講師を見付けるのに、全教職員で知り合いにあたっているという状況と聞いています。 ある学校から初任者研修の代替教員として頼まれた方は、年間の勤務日数が10日間だったと言われていました。誰が考えてもそれでは見付からないだろうと思います。 名前は、それぞれの市町村で違いますが、市町村ではいわゆる補助職員の職務と初任者研修代替を兼務してもらうなどの、いわゆる工夫をしてしのいでいるのが実態であります。 今年度も昨年同様に、いまだに必要な職員がそろっていない学校もあると聞いていますが、そもそもの原因やその解決方法についてどのように考えているのでしょうか。教育長の見解をお聞かせください。 ○井上伸史議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教育現場の人手不足についてお答えいたします。 児童生徒数の減少によって、各大学の教育学部の定員は、既にかつての半数近い状況となっている中、大量退職が続いており、全国的に教員の需給ギャップが生じております。 このため、本県では、教員養成課程を持つ県内7大学との連携協力による連絡協議会において、学部外の学生の免許取得について、学生への積極的な働きかけを依頼しているところであります。 また、平成25年度から新採用職員を積極的に増やすとともに、退職者には再任用を積極的に呼びかけるなどして、正規教員の割合を上げることで、臨時講師比率の圧縮に努めております。 例えば中学校においては、今年度は11.8%と、この10年間のピーク時に比べて3.1ポイント下がっております。さらには、臨時講師に任用可能な教員免許保有者が減少する中で、教育庁内、教育事務所あげて、市町村教育委員会の協力を得ながら、教員免許保有者への声かけを行うとともに、年度途中の短期間の休職代替等への任用の協力を退職者に呼びかけているところであります 今後も、様々な工夫をしながら、教育現場における人材確保に努めていきたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 今、社会全体として人手不足が進んでいます。ですから、教育現場の人手不足はますます厳しくなるのではないかと感じています。根本的な解決策は喫緊の課題であることを指摘しておきたいと思います。 続いて、教員確保について、質問いたします。 さきほど言いました人手不足なんですけど、私は、教職員の多忙化が解消できなかったこれまでのつけが回ってきたのではないかと考えています。実効性のある対策ができずに、教育現場は忙しいという常識が生まれ、教職を目指す人が離れていったのだろうと考えています。 また、深刻な臨時、非常勤講師の欠員状況の問題の原因の一つに、7月に行われる教員採用試験まで、臨時・非常勤講師を断る方も多いと聞いています。 九州各県のほとんどの県では、臨時・非常勤講師の経験年数によっては、一次試験の教職教養を免除しています。この点について、昨年の第2回定例会で質問したところ、「地方公務員法の趣旨を踏まえ、試験の公正性・公平性を確保する観点から、一律に臨時講師の経験による優遇措置を設けることは考えていない」との答弁がありました。 九州の中で大分県と鹿児島県の2県以外では、臨時講師の経験年数が2年から5年との違いはあるものの、その経験をもって一次試験の教職教養を免除するなど、方策をとっています。 私も、本県において、臨時講師の経験によっては、一次試験の教職教養などを免除すべきではないかと考えています。再度、教員採用試験における臨時講師経験者へのさらなる配慮を求め、見解を伺いたいと思います。 ○井上伸史議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教員確保についてお答えします。 教員採用選考試験については、平成20年の事件を踏まえて、試験制度の様々な改革に取り組んでおりますが、公正・公平・透明性に疑義を抱かせるような事態をまねかないことが肝要であると考えています。 そのため、本県では、地方公務員法の趣旨を踏まえて、新卒、既卒の別によることなく、試験の中で受験者の力を判断して合格者を選考していることから、臨時講師の経験のみを優遇するということは考えておりません。 本県にとどまらず、全国的な人手不足の現状から、免許保有者を広く求めておりますが、臨時講師の経験、それだけで採用試験で求める基本的知識を有すると判断をすることは、特に公平性を失することになると考えております。 今後も教育県大分を担う優秀な人材を確保するため、状況の変化を見ながら見直しを行うことは、人材確保のために必要なことではありますが、その場合でも、公正・公平・透明性から逸脱する事態に至ることがないよう慎重に対応していくことが重要であると考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 この問題、今回で3回目の質問です。教育長は、またかと思われているというふうに思います。 前々回、工藤教育長は、我々は、この試験そのものに対して大変苦い経験をしてきたということから、こういう優遇措置というものをどう扱ったらいいかということは、非常に慎重にならざるを得ないと考えていると答えられました。 全国に衝撃が起きた大分県教育委員会の教員採用汚職事件の発覚から、早10年がたちます。様々なメディアで、この事件を振り返る報道が現在あります。 先日の大分合同新聞の東西南北に財務省の公文書改ざんをめぐる問題を論じた後に、行政に見るすりかえ、ごまかしは何も政府だけではないとして、大分県教委の教員採用汚職事件に関わり、事件後、県教委の改革は人事制度とともに現場の学力、体力対策に向かった。幹部が引き起こした事件が、いつの間にか現場改革にすりかわってしまったのであると痛切に批判していました。 私も同じように考えています。また、報道では、県教委に対して採用取消しの取消しを求める裁判をされていた秦さんが、県外で採用されたと報道されていました。彼の試験結果は、加点前では90番目で、本採用になるためには能力が足りていなかったと判決理由で論じられていました。 今年の採用者数は170数名です。その年の採用人数いかんで能力があるかないかを判断させられていると言えます。 教員として力のある秦さんを、大分県の教育現場から失ったのは大きな損失であったと思います。 さらに言えば、採用試験に合格していない者は、本採用するには能力が足りないと裁判で論じられました。私は、そうは思いませんが、その方々に臨時講師として教壇で頑張っていただいているという矛盾を抱えていることを、私は指摘しておきます。 教員採用試験に関して、公平性の担保のための取組を否定するつもりは全くありません。しかし、一次試験の抜本的な改革をしない限り、大分県の教育現場の人手不足は、ますます深刻となることと考えますので、これからも、この議場で県教委に問い続けていきたいと考えています。 続いて、国民健康保険について質問いたします。 最初に国民健康保険の課題について質問いたします。 今春から、国民健康保険の財政運営が基礎自治体から都道府県単位へと広域化されました。この広域化作業は、大変な作業だったのではないかと思います。関わられた県の担当者の皆さん、そして基礎自治体の担当者の皆さんへ慰労の感謝を申し上げたいと思います。 この国保の広域化に関しては、これまでも一般質問や代表質問で取り上げさせていただきました。昨年の第3回定例会での代表質問では、広域化に向けた作業の進捗状況をお聞きしました。その際には、各市町村での特定健診の内容の違いについても、これからの検討事項である旨が答弁されていました。 4月にスタートして3か月が経過しようとしていますが、これからの課題をどのように認識し、どのように対応しようとしているのか、お尋ねしたいと思います。 ○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。 ◎長谷尾雅通福祉保健部長 お答えいたします。 今年4月からの国民健康保険の広域化ですけれども、混乱もなく円滑にスタートしたと考えております。 課題は、やはり国保財政の収支均衡を図ることであります。そのため、歳入、歳出両面からの取組を強化することとしております。歳入面では、保険税の収納率向上を図るため、口座振替の推進やコンビニ納付の導入など、納付環境の整備を図るとともに、滞納者対策にも力を入れることとしております。歳出面では、平成28年度の本県国保の一人あたり医療費ですけれども41万5,918円と、全国で5番目に高いということです。特定健診や特定保健指導実施率の向上、あるいは後発医薬品の使用促進などにより、医療費の適正化にしっかり取り組んでまいります。 このほか、利便性の向上などのため、今年度から被保険者証の様式の統一とか、特定健診受診機会の拡大、勤務地でも健診が受けられるということですけれども、そういった拡大を実施しております。 このほか、70歳以上の者のみで構成される世帯について、毎月の高額療養費の支給申請を初回のみとする簡素化を検討中です。これらの課題について、県と市町村とで構成する県国民健康保険連携会議で、引き続き協議してまいります。 なお、議員御指摘の特定健診につきましては、検査項目や単価の統一を図ることができました。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 まだまだ、残った課題についての取組をお願いしたいと思います。 続いて、国民健康の保険料について質問いたします。 新聞報道によれば、全国の半数以上の自治体で国保保険料が下がるとされていました。国が約3,400億円の財政支援を行ったこともありますし、多くの自治体では一般会計からの法定外繰入れを行ったことも要因として考えられます。 その中で私が注視しているのは大分県での、県内での保険料の格差の問題であります。今年2月に県が公表した平成30年度国民健康保険税の算定額によると、竹田市の14万9,030円に対し、姫島村が9万4,952円となっており1.5倍の違いが生じています。 厚生労働省では、同一都道府県では、将来的に保険料水準を統一するように求めています。先日の新聞報道によると滋賀県、大阪府、奈良県、広島県、佐賀県の5府県では統一するという方向性を明らかにしています。24都道県では実施に向けて検討中と回答していますが、残りの18府県が未定と回答しています。未定の理由として、現時点で直ちに統一すると、保険料の負担に激変をもたらすという回答が出ています。 確かに強引に統一を進めれば、医療機関が少ない地域から保険料が同程度なのに、医療サービスに差があることはおかしいなどと不満が出ることも予想されます。しかしながら、多くの方々が、住民票のある市町村の医院、病院だけを受診しているのではなく、より高度な治療を求め、近隣の市町村の総合病院なども受診している現状を考えれば、保険料水準の統一は理解されていくものと考えます。さらに言えば、私自身は、国民健康保険制度というからには、将来的に全国的に保険料水準を統一すべきであると考えています。 県内での保険料水準の統一について、どのように考えられているのかをお聞かせください。 ○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。 ◎長谷尾雅通福祉保健部長 保険税水準の統一ということでお答えいたします。広域化により、県は市町村ごとの国保事業費納付金の額とか、標準保険料率を算定することとなりましたが、これらは、各市町村の医療費水準や所得水準を反映させたものとなっております。 保険税の統一については、これら医療費水準などの差のほかに、これまで市町村ごとの税率設定であったことや、市町村の保健事業など医療費適正化への取組が異なること、また、一般会計からの法定外繰入れ等の有無など、様々な課題があり、引き続き市町村と協議していきたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 長谷尾福祉保健部長、将来的な展望として、保険料水準の統一を目指すことを示すべきではないかと思いますが、見解を伺います。 ○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。 ◎長谷尾雅通福祉保健部長 今回の広域化ということで、国と地方との議論、協議の場があり、非常に様々な議論がございました。また、平成27年の国会で、法案審査にあたって参議院の附帯決議がついております。それは医療サービスの水準に地域格差がある現状に鑑み、受けられる医療サービスに見合わない保険料負担とならないよう配慮することというものでございます。 このように統一については医療費水準の市町村格差など、様々な課題があるほか、統一に伴い、被保険者の税負担が急変する市町村が生じることも考えられます。 現に今回の広域化に伴い、新制度を導入したわけですが、私どもは、この激変緩和と保険税が大きく変わることに非常に腐心をしたところでございます。 加えて、医療費の適正化のインセンティブを、どのように図るということがございます。言い換えますと、市町村の努力と、要するに医療費を適正化する努力を統一化すると、どのように担保ができるのかというような課題もありまして、これらの課題について、引き続き市町村と協議してまいりたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 今、答弁を聞いて、そうなんだろうなと思いながら、将来的には、やはり統一すべきじゃないかなというふうに、私自身は思っているんですけど。ぜひまたその検討をしていただきたいと思っております。 続いて、住宅セーフティーネットについて質問します。 最初に、住宅セーフティーネットの現状と課題について質問いたします。 2017年4月19日、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる改正住宅セーフティーネット法が参議院本会議で可決成立し、昨秋から施行されています。 この法律は高齢者、子育て世代、低所得者、障がい者、被災者、そして外国人世帯など、住宅の確保に困難を抱えている人たちを住宅確保要配慮者とし、空き家等を住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として賃貸人が都道府県に登録し、入居を促進しようとするものであります。 現在、全国各地で高齢者や低所得者など、住宅ニーズが高い層に住居が提供されていない事態が多く発生しています。問題の背景にはオーナーが、こうした層の入居を拒んでいるからとされています。住宅の確保に困難を抱える方々は、住まいの貧困、ハウジングプアとも呼ばれ、その支援は急務であります。 施行されるにあたり、国土交通省は2020年度末までに、全国で計17万5千戸、1年あたり5万戸の登録住宅を確保するとしています。また、居住支援協議会の活動の中核となる居住支援法人を都道府県が指定し、情報提供や入居相談、その他の援助を行うとしています。さらに、低所得者の入居を促進するために低所得者の入居負担軽減のための支援措置も打ち出されています。 しかしながら、先日、新聞報道で、「登録された住居の数が目標の0.4%にとどまっている。2020年度に17万5千戸の目標だが、現在は622戸。スタートから半年だが自治体が支援に及び腰で、家主が登録に二の足を踏んでいるのが要因だ」との報道がなされていました。さらに、「現時点の都道府県別では、多い順に大阪237件、山梨88件、岡山54件ですが、東京や愛知のようにゼロ件の自治体もある。背景には、財政難などを理由に家主への支援策が低調なことがある。国交省が昨年度、事業を実施する意向のある自治体を募ったところ、数十自治体にとどまった。18年度も同様の規模で低迷していると見られる」ともありました。 本県の現状と目標達成に向けて今後どのように進めていくのかをお聞かせください。 ○井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 住宅セーフティネットにかかる御質問をいただきました。 住宅確保要配慮者に対しては、公営住宅におきましても高齢者、子育て世帯等への優先枠の設定や災害による被災者の受入れなどの対応を行っているところでございます。 しかしながら、地理的条件や建物の仕様が合致しないなどの理由で、要配慮者の希望を満たす住宅が確保できていないという状況もあります。このような中、昨年10月に公営住宅の役割を補完する、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録を盛り込んだ新たな制度が施行されました。これを受けて、県でも福祉や不動産関係団体、庁内関係部局で構成する大分県居住支援協議会において、制度の活用に向けた協議を進めているところです。 協議会の中では、登録が進まない要因として、住宅を必要とする要配慮者のニーズがつかめていないということや、管理上のトラブルへの不安などがございました。 そうしたことから、本県では、現時点での登録はありませんけれども、今後、新たにオーナー団体を協議会に加え、要配慮者のニーズとあわせて、オーナーの意向もくみ取ることにより登録を増やし、要配慮者が住宅を確保しやすい環境をつくっていきたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 大分県も登録はゼロ件なんですね。分かりました。登録件数の目標もさることながら、まず、住宅確保要配慮者の現状を、どのように考えられているのか、ちょっとお聞きしたいんです。 実態把握というのは、とても難しいことだと思うんですが、いわゆるニーズですね。どのぐらいあるのか、分かる範囲でお答え願いたいと思いますが、これは分かりますでしょうか。 ○井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 住宅確保要配慮者の現状ということでございます。もちろんニーズに関しては、さきほど申しましたようにバリアフリー化であるとか、あるいは地理的要件、こういったものが要因にあるということは、まず、現状として押さえております。 県営住宅、公営住宅等の募集の際にも空いた部屋に対しての募集の内訳等を見ても、要配慮者と言われる方々の割合がかなり高くなっています。具体例として、当選はしたんだけども、階層が上のほうだから私はちょっと無理だと御辞退、こういった事実もございます。そういったことも含めて、やはりこれからは、賃貸住宅の活用という意味で、供給量を増やすということで、大事なことだと考えておりますので、民間住宅等の登録の増を目指して、頑張ってまいりたいと思います。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 今の答弁を聞きながら思ったんですけど、ニーズというのは、なかなか把握しにくいし、それぞれの条件がありますから、違いがあると思うんですが、そのためには登録件数を増やしながら、いろんな方に対応できることが必要なんだと改めて感じました。 まず、登録件数を増やせるように取組をお願いしたいと思います。 続いてこの問題について、空き家対策との連携について質問したいと思います。 住宅の確保に困難を抱える方々の問題とともに、その一方で、全国各地で空き家が増えている実態があります。住宅の解体に費用を要することや、住宅を解体すると土地の固定資産税の特例適用がなくなるため税金が上がることもあり、解体されないまま家屋が残るケースが多いと言われています。また、家の存在は所有者にとって経済的な価値以上に思いを含んでおり、解体をためらってしまう場合もあるようであります。 県はこれまで基礎自治体とともに、空き家の実態調査を行いました。住宅は人が住まないと傷み具合が進むといわれます。空き家を積極的に登録して利用していただければ一石二鳥とも言えます。このように、住宅セーフティーネット制度を、空き家対策と絡めて推進すべきと考えますが、見解をお聞きかせください。 ○井上伸史議長 阿部土木建築部長。 ◎阿部洋祐土木建築部長 住宅セーフティネットと空き家対策との連携という御質問でございました。 住宅セーフティネットにおける賃貸住宅の登録制度は、高齢者や子育て世帯、外国人など、様々な住宅確保要配慮者に対する支援制度です。市町村の中には、使われずに放置されている空き家を子育て支援に活用する検討を始めた例もあるように、本制度を進める上で、空き家対策との連携は有効であると考えております。 しかし、要配慮者が空き家を利用するためには、立地条件、バリアフリー化の状況、所有者の意向などと調整する、そういった情報を把握することが必要であると考えております。 今後は、居住支援協議会と空き家対策を所管する関係機関で、要配慮者のニーズや空き家情報を把握するとともに、相互に共有できる体制を構築するなど、しっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。 ○井上伸史議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 これからますます空き家は増えてくると考えられます。この問題というのは、私も経験しましたし、身近にもたくさんある問題と言えます。 例えば、大分市近辺に住宅を建てている県職員の方々の中には、出身地にある生家が空き家となっている方もいらっしゃると思います。様々な理由で空き家を相続している方々の中で、貸してもいいと考えながらもさきほどの空き家登録をしない理由を推測すると、家の中の家具や生活雑貨を片付けられないからという方もいらっしゃいます。 そのためにもですね、片付けや不用家具等の処分ができる会社や団体を紹介してあげることも必要なのかなと考えています。 さらに、今朝の大阪での地震で9歳の児童が心肺停止となったと、さきほど報道されていました。7時58分に起きた地震ですから、登校途中に倒れたブロック塀に巻き込まれたのかもしれないと私自身は思いました。私の実家もそうだったんですけど、芯が入ってないブロック塀というのは結構たくさんあるんですよね。空き家の安全対策もやっぱり必要なんだろうなと思っています。 今回は、住宅セーフティネット法と空き家対策を連携した取組として推進することを提案しましたが、有効な社会資源の活用というのは、様々な分野で、これからも求められるものだと考えていますので、県としての取組の推進をお願いして質問を終わります。 ありがとうございました。 ○井上伸史議長 以上で、原田孝司君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午前11時50分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○濱田洋副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。森誠一君。  〔森誠一議員登壇〕(拍手) ◆森誠一議員 皆さん、こんにちは。 4番、自由民主党の森誠一でございます。 今定例会において、私自身、議員通算5回目となる貴重な一般質問の機会をいただきました。先輩、同僚議員各位に心から感謝申し上げます。 また、本日は農繁期で非常にお忙しい中にもかかわりませず、地元豊後大野市、そして、県内外から傍聴に来ていただいております。感謝申し上げます。 そしてまた、本日は県議会若者DAYということで、県内の大学生28名の方が、この後、意見交換等をされるということで、それに先立って傍聴にも来てくださっているようでございます。皆様にも、若い皆様に県議会に対するいろんな御意見を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 冒頭、本日、朝起こりました関西地方の地震においては、亡くなられた方がおられると聞いております。心からお悔やみを申し上げるところでございます。 さて、私は今回、ユネスコエコパークにも認定された大分県の持つ豊かな美しい自然景観、そしてこれからの大分県の発展を支える人材の活用、自然や人材といった財産の活用について、観光振興などを切り口に質問させていただきたいと思います。知事はじめ執行部の皆様に温かい御答弁をよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 観光振興について、まずインバウンドの推進について質問いたします。インバウンドとは、外国人が訪れる旅行、日本への海外からの観光客の誘客についてということであります。今でこそ、インバウンドという言葉がメジャーにというか、よく知られるようになりました。以前、私が初めて聞いたときには、何の話だろうというふうな言葉だったんですけども、それから5年以上が経過した今、インバウンドという言葉が非常に日常にも使われるようになったと思います。 さて、本県を訪れる外国人観光客は年々増加し、平成29年度は延べ132万人泊と最高値を記録しております。前年の80万人から60%伸びるという大きな伸びでございます。全国13位まで、インバウンドのお客様の数は急伸しております。 この外国人宿泊者を国別に見ますと、韓国が全体の62%を占め、以下台湾が12%、香港8%、中国8%と東アジアからの宿泊客が中心になっております。 北九州市などが本年5月に取りまとめた、ビッグデータ等を活用した訪日外国人観光客の動向等調査分析報告書、さきほど衛藤博昭議員からも紹介された報告書の分析によれば、九州を訪れた韓国、台湾、香港からの観光客の行動パターンが分析されております。 まず、韓国は、福岡県から大分県への流動が大きい。この2県を中心に、2県から熊本県や長崎県への流動が見られるということです。 次に、台湾ですけども、福岡県内での完結型ということで、大分県、熊本県から福岡に入るルートというのが次点となっているようです。 最後に香港は、福岡から大分県間が主要な流動軸となっておるようです。こうした調査や報告書を見ると、本県のインバウンド施策は一定の成果は現れていると思います。 しかしながら、今後短いスパンで別府市を中心に、インターコンチネンタルをはじめ次々と新しいホテルが開業し、800室を超えて増加する見込みであることから、引き続き、インバウンド客の誘致を積極的に行い、既存の宿泊施設を含め、客室稼働率を上げていく必要があると思います。 来年のラグビーワールドカップや2020年東京オリンピックパラリンピックなど世界の注目を集めるビッグイベントが日本で行われることから、インバウンドの誘致については絶好の機会であると思います。 本年4月25日には、インバウンド推進協議会OITAが設立され、今後、民間レベルによる誘客キャンペーンも積極的に展開されることが期待されます。 本県のインバウンド施策における課題をどう捉え、今後どう展開しようとしているのか、知事の御見解をお聞かせください。続きは対面で行います。  〔森議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○濱田洋副議長 ただいまの森誠一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 森誠一議員からインバウンドの推進について、御質問をいただきました。 観光は成長性が高くて、裾野の広い地域密着型の産業でありまして、地方創生の観点からも、仕事づくりで大きな役割を担ってもらうとともに、交流人口の拡大による地域活性化の面でも大変重要だと思います。 本年は六郷満山開山1300年祭、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭がありまして、来年はラグビーワールドカップなど、ビッグイベントが続きます。 インバウンドは伸び代が大きいことから、この機を捉えて、従来のアジアに加えて欧米・大洋州まで海外誘客のウイングを広げること、観光消費額の増加や高付加価値化を図ることが課題となっております。 こうした課題を解決するためには、一人あたりの旅行支出が高い傾向にある、欧米や大洋州からの旅行者の掘り起こしや、富裕層の誘客、滞在期間の長期化などが必要であります。そのため、きめ細かな情報発信、誘客、受入態勢整備等の取組を強化してまいります。 情報発信のほうでございますけれども、先月開催した世界温泉地サミットで、温泉の魅力や活用方法等いろんな議論がなされたところでありまして、温泉の持つ力を世界に向けて発信することができたと思います。 7月に九州地域戦略会議がフランス・パリで行う九州PR活動に私も参加いたしまして、この温泉の魅力に加えて、本県自慢の天然自然や、おいしい食べ物などをしっかりと売り込んできたいと思います。 また、世界的に有名なガイド本でありますミシュランガイドの「熊本・大分特別版」が、9月には英語でWEB上公開される予定でありまして、本県の食の魅力を大いに発信することになるだろうと期待をしております。 誘客では、ラグビーワールドカップ出場国の公式旅行代理店を訪問し、本県の宿泊施設や観光地、アクティビティなどを詳細に説明して、県内での宿泊を働きかけているところであります。 また、県内の様々な自然景観を生かしたフットパスや、稲積水中鍾乳洞でのスキューバダイビングなど、外国人が好む体験型のメニューの開発もしっかり行います。 グリーンツーリズムにつきましても、海外からネットで直接予約できる仕組みを構築いたします。 高級クルーズ船の誘致にも力を入れていきたいと思います。 受入態勢整備では、観光客が快適に滞在してもらえるように、多言語表示や公衆トイレの整備、観光関係者へのおもてなしの研修や、欧米・大洋州の方の嗜好に合ったメニューづくりを行います。 多言語コールセンターも、九州・山口6県での広域運用としたところであります。 インバウンド推進協議会OITAも設立され、民間でもインバウンドの受入機運が高まっております。県としては、関係団体と連携をとりながら、海外からの誘客に積極的に取り組んでいきたいと考えております。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 平成28年度から29年度の伸びの話をさきほどしましたけれども、外国人宿泊者数が1年間に50万人伸びたということであります。この50万人という数字は、インバウンドのお客様がさほど多くない一つの県よりも多い、非常に大きな伸びだったと思います。その50万人の伸びについて、県ではどのように分析をされているのか。そして、この平成30年から31年にかけて、どれぐらいの数値を見込み、それにどう対応していこうとしているのかについて、御答弁いただきたいと思います。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 お答えします。 これまで、ラグビーワールドカップなどのビッグイベントをにらみながら、関係国にこちらから出向いて、しっかり情報発信をしてきた成果だと思っております。 今後の伸びなんですけども、まだ、今の時点で何とも言えませんけども、この1年で、また、これまでと同じぐらい伸びるように、しっかり努力をしてまいりたいと考えております。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 今日午前中に衛藤博昭議員からもお話がありましたが、ターゲットをきちんと絞った中で、県として戦略をしっかり立てていかなければならないと思いますし、今後、どれぐらい伸びるか分からないというような形ではなくて、これからしっかりとした目標も必要だろうと思います。 特に、さきほどの分析の結果を見ると、香港についてですけども、福岡から大分の流れが非常に多いということが書かれておりますし、実際、香港の方にとっても大分は、非常に魅力があるというふうに感じられているとお聞きしております。 さきほどの衛藤博昭議員が提示された、いろんなデータの分析手法があるかと思いますので、そういうのをしっかり大分県としても分析をして、今後の戦略に役立てていく必要があるんじゃないかと思います。よろしくお願いいたします。 それでは次に移ります。 インバウンド等で非常に重要になると思いますのが、大分県にゆかりのある人材の活用だと私は思います。インバウンドの推進や海外プロモーション活動・ビジネス展開において、留学や国際交流を通じて大分県と御縁のある方々との連携が必要だと思います。 別府市の立命館アジア太平洋大学の卒業生は本国に帰国後も多くの方が活躍され、例えばタイの同窓会の活動などは活発に行われているとお聞きしております。 また、香港については、犬飼町のわかあゆ国際交流会との深いつながりがあります。犬飼町では1990年代に大野川で開催されたドラゴンボート大会が縁で香港との交流が始まり、20年前から香港でも名門といわれる香港中文大学の学生のホームステイを約2週間受け入れるようになっております。今年も7月末に犬飼町に訪れ、交流会の様々なプログラムで交流や体験活動が行われます。 本年4月、私ども調査団をつくって香港を訪問した際、犬飼町を訪れた中文大学の卒業生や在学生との意見交換を開催いたしました。犬飼町、そして大分のことが大好きであり、また今度、犬飼町のお父さん、お母さんのところに帰るのだと、うれしそうに話されている学生さん、卒業生の姿が本当に印象的でありました。 このように大分県と縁があり、大分県のことを気にかけてくれる優秀な方々がたくさんいらっしゃると思います。 県では特に熱意あふれる人物をめじろん海外特派員に任命し、海外情報の提供や本県の情報発信、PR等に活用すると海外戦略の中でもうたっておりますが、現在の人材活用の状況や、今後の見通しについて見解をお聞かせください。 続いて、関連があります、大分県版DMOについて御質問いたします。 私は、平成28年の第3回定例会で、国が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」実現のための地域での旗振り役である日本版DMOについて言及した上で、大分県版DMOに関する取組と今後の展開について知事に質問させていただきました。 知事からはツーリズム戦略の中で、本県の観光振興の推進役として位置付けられているツーリズムおおいたが、大分県版のDMOとしての機能を十分に発揮できるよう、市町村と連携して取り組んでいくとの決意をお伺いいたしました。 また、ツーリズムおおいたの在り方の検討に際しては、次の4点に力を入れるべきとも述べられました。 第一は、観光地域づくりのまとめ役としての取組強化。 第二は、データの収集・分析に基づく観光事業の企画・推進の強化。 第三は、DMOの機能をより発揮するための財政基盤の強化。 そして、第四は、組織・体制の強化です。知事の答弁にもありますように、DMOの機能を発揮するためには財政基盤の強化が欠かせないと思います。 日本版DMOの登録要件の一つにも、安定的な運営資金の確保がうたわれています。DMO法人ごとに、収益事業や自治体からの補助金などにより、財源の確保に工夫をしながら取組が行われております。 そこでお伺いいたします。大分県版DMOと位置付けられているツーリズムおおいたにおける、自主財源確保の状況についてお聞かせください。 あわせて、DMOの主要な業務であり、重要な役割でもある、マーケティング及び会員等への情報提供をどのように行っているのかをお聞かせください。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 最初に大分県にゆかりのある人材の活用についてお答えいたします。 大分県海外戦略等を推進するため、県から奨学金を受給した留学生や国際交流員、あるいは外国語指導助手などのうち、離県後も本県との架け橋となってくれる方をめじろん海外特派員に任命しており、現在では9か国55人が活躍いただいているところであります。 この特派員のほかにも、香港を拠点としながら、シンガポールやジャカルタなどで別府麺館という屋号で多店舗展開をしている呂社長や、香港から本県へ多数の送客実績があるEGLツアーズの袁社長などを海外親善大使として任命しておりまして、様々御協力いただいているところであります。 これら特派員等に向けては、毎月、大分で起こっている出来事や、県内各地の観光情報などを配信しているところであります。 これを受けて特派員らには、自らのブログやSNSなどで本県情報を発信していただいているほか、県やあるいは県内企業が商談やプロモーションなどで現地を訪問する際には、訪問先との調整や、あるいは同行、通訳まで対応していただくなど、多大な貢献をいただいています。 そういう中でありますけれども、海外戦略で定めている重点国・地域のうち、例えば、台湾やシンガポール、インドネシアといったようなところにおいては、まだ特派員等がいないという状態にとどまっています。 このため、今後は、それらの国や地域を中心に、本県にゆかりのある人材を特派員等に任命・拡充するよう努めていきたいと考えております。 それから、大分県版DMOについてでございますが、本年3月に日本版DMOに登録されたツーリズムおおいたには、これまで以上に戦略的に観光誘客を行い、地域を活性化させることが期待されています。 安定的な運営のためにも、自治体からの受託収入だけではなく、現在7%程度にとどまっている自主財源を増加させることが必要と考えています。そのため、会員のさらなる確保を図るほか、WEB販売システムを構築し、本年度から県内各地の着地型旅行商品の販売を開始します。 加えて、観光実態調査で収集した消費額や交通手段、あるいは観光客の満足度などといったデータを市町村ごとに分析して、観光地の強みや弱みを把握、比較することで、会員である市町村のマーケティングを支援します。 また、昨年度から外国人の旅行目的や消費額等の動態について、大分空港など、県内5か所で調査を実施し、データを蓄積し始めております。今後の調査・分析により外国人誘客に活用していくこととしております。 そのほか、会員に向けては、観光に関する最新情報や国の補助メニューなど、有益な情報提供に努めるとともに、国内外での商談会やプロモーション等も実施したいと考えております。 今後とも市町村や関係機関のプラットフォームとして地域の活性化に取り組んでまいります。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 大分とゆかりのある方々、本当に多くの方が大分で過ごして、そして今、本国に帰られても活躍されているとお聞きしております。 さきほど、お話させていただいた、例えば、現地、本国でのAPUの同窓会ですとか、そういった組織、卒業生への働きかけを、もうちょっと積極的に行うべきではないかと考えています。その点について、御答弁をいただきたいと思います。 もう1点、インバウンド推進協議会OITAが設立されました。なぜ設立されたかということを関係者の方にお聞きしましたところ、やはり情報がなかなか自分たちに入ってこないというところが、一番大きい要因だったとお聞きしております。 インバウンド推進協議会OITAは宿泊業者さんをはじめ、多くの旅行、観光関係者で組織しております。その中で、今まで一方的だった情報をみんなで共有して、さらに、この大分県のインバウンドを進めていこうというような思いが、皆さんの話の中で感じられました。また、今月第2回目の定例会も行われると聞いております。 さきほど、市町村へのマーケティング情報の提供ということもあったんですけども、やはり、いわゆる観光業界においても、特に宿泊業者さん等への情報提供というのが、DMOの本来の役割であると考えているんですが、その点について、見解をお聞かせください。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 最初に御質問のありました、APUの同窓会への積極的な関与というところです。私ども企画振興部、あるいは国際政策課が中心になりまして、アジアを中心にAPUの同窓生が現地で集まりをする際には、都合がつけば極力お伺いするようにしているところであります。という中ですけども、繰り返しになりますが、私どもが重点地域と定めているところにはやはり厚めに伺いたいと考えており、これまで以上につながりを持つように努めたいと思っております。 それから、もう一つの質問でインバウンド推進協議会、民間の皆さんがとても前向きに集まっていただいておりまして、私どももこれまで以上に手をとりながら、一緒によりよい結果を目指していきたいと思っております。DMOの関係でツーリズムおおいたの話として、市町村というふうに申し上げましたけれども、何も市町村だけが対象ということではございません。むしろ議員のお話のように、一番先にお客様に接するところにいらっしゃる宿泊の関係の方々、あるいは観光施設の方々、そういった方々がやはり一番先に恩恵を受けていただく必要があると思ってますので、積極的に情報提供してまいりたいと思っております。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 人材の活用については、さきほど豊後大野市犬飼町のわかあゆ交流会の例もお話させていただきました。非常に長いおつき合いの中で、犬飼町とも20年以上のつき合いがあって、今年実は20年記念誌も発行されて、これまでのいろんな交流の歴史がそちらに載っているんです。こういった本当に草の根の交流が、ずっと県内でもなされているということをしっかり県も認識した上で、人材活用についても考えていただきたいと思います。 それでは、次に移ります。九州オルレについてです。 オルレとは、家に帰る細い道という韓国済州島の方言で、平成24年3月に奥豊後コースなど、九州内で4コースがオープンし、6年目の現在は全21コースとなっております。 本県では平成25年に九重やまなみコース、平成26年に別府コースがオープン。そして、今年3月10日にオープンした佐伯市の大入島コースのオープニングイベントでは、定員300名を大きく上回る参加があり、多くの皆さんがすばらしいコースと評価してくれております。 5月には特産の岩ガキをオルレ中に食べる岩ガキオルレフェアを企画し、これも約250名の参加者が楽しんだと聞いております。 佐伯市にお聞きしたところ、5月末までに約1,600名の方が大入島オルレを体験し、順調にファンを増やしていると聞きます。また歩いた方の中で、韓国をはじめとする外国人の方は今のところ1割程度、150人程度と聞いております。 ほかのオルレコースを経験した福岡県、佐賀県など、国内のお客様が多いとお聞きしています。 県外でも、宮城県が宮城オルレとして東松島市に奥松島コースと気仙沼市の唐桑コースを今年10月上旬にオープン予定で、今後、宮城県内に計8コースを計画とのことであります。また、佐賀県では、認定コース同士が連携をとって、スイーツオルレなど、食と連携した様々なキャンペーンを行っています。 他方、県内では、フットパスコースの設定やトレッキングコースの造成など、欧米の観光客に向けた事業も展開されています。 フットパスとは、歩く小径のことであり、イギリスを発祥とする、森林や田園地帯、古い街並みなど、地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くというものです。ほぼオルレとフットパスは共通する企画であると私は思っております。 オルレについても、韓国からの観光客向けにとどまらず、フットパスやトレッキングと同様に、欧米の観光客向けに活用できるのではないでしょうか。 奥豊後コースにおいても、ハングルと日本語表記だけだったコースの案内板を、英語と日本語表記に統一しました。また、英語のコース案内リーフレットも作成し、最近増加している欧米のフットパス愛好者の受け入れ態勢整備も行ったところです。 県内4か所にあるオルレコースについては、それぞれの個性が非常に評価されております。インバウンド施策や地域振興施策に今後どう生かしていくのか、県の見解をお聞かせください。 続いて、登山の安全について質問いたします。 まず、安全な登山のためのルールづくりについてであります。祖母・傾・大崩山系のユネスコエコパーク認定は、地域にとって非常に誇らしい評価であり、今後も様々な取組が期待されます。 今後も自信を持って多くの訪問客の受入態勢を整備していかなければなりません。 私は、平成28年第3回定例会で、大分県における山岳遭難の実態や登山届の提出状況などの数値を基に、登山の安全対策について質問させていただきました。 その際、平成27年に制定された長野県登山安全条例の例を示し、豊かな山岳環境を持つ大分県においても罰則を科すのではなく、皆さんの意識を高めていくための条例制定など、ルールづくりの検討をお願いしたところであります。 執行部からは、山岳遭難事故防止活動などを行う大分県山岳遭難対策協議会や関係市町とも連携し、このような活動をほかの地域にも広げ、安全で楽しく登山ができる環境づくりに取り組みたいという趣旨の答弁がありました。 条例制定などのルールづくりについては、残念ながら前向きな回答をいただけなかったところであります。 その後、山梨県は、昨年4月に検討委員会を立ち上げ、10月に登山の安全確保に関する条例を制定しました。長野県と同様、登山届を義務化するものの罰則規定は設けず、登山者の意識を高めることを目的としております。 ユネスコエコパーク認定地域である祖母・傾・大崩山系は、標高が1,700メートルであることから、登山経験が少ない方々は、比較的登りやすいのではないかということで、十分な計画や装備、そして登山届も出さないままに登山を開始し、下山が不可能になり救助を求めるといった登山事故も頻発しており、防災ヘリコプターの出動回数も増加しているとお聞きしております。 海外からの登山客も増加する中で、本県での登山を安全に楽しんでいただくとともに、登山者の多様化、初心者の増加などに適切に対応し、事故を未然に防止するためにも、条例制定等により登山者が遵守すべきルールを定める必要があると思いますが、これについては、生活環境部長に改めて見解をお伺いいたします。 続いて、登山届について、警察本部長にお伺いいたします。 長野県では、条例制定後の1年間の集計で、県に提出された登山計画書は15万件余りとなっております。条例施行前にあたる前年同期が9万6千件ほどでありますので、58.4%増加しております。提出形態は、登山口などに設けた登山ポストやファクスなどが約9割の13万件、またインターネット経由での届出は、1万5千件程度にとどまっているとのことであります。 本県における登山届の届出件数や提出形態について、また、遭難事故における登山届の提出の実態と、今後の対策について本部長、お答えください。よろしくお願いいたします。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 私から、九州オルレについてお答えいたします。 本県の四つのオルレコースですけれども、ラムサール条約に基づいて指定されたタデ原湿原、日本ジオパーク、阿蘇くじゅう国立公園の雄大な自然、島ならではの海岸線など、それぞれ特徴ある景観を楽しむことができるものだと思っております。 こうしたブランド力を生かして、来年のラグビーワールドカップを見据えて、アジアのみならず欧米・大洋州からのインバウンドの取り込みに向けて、県では特にオルレを欧米人になじみのあるフットパスとして、環境整備と情報発信に努めていきたいと思っております。 環境整備では、案内板等の英語表記の充実や、英語版リーフレットの作成などを行います。 県内には、このオルレのほかにも、ジオサイト巡りや国東半島峯道ロングトレイルなどがありまして、臼杵市や豊後高田市では、新たにフットパスコース造成するといった動きも見られるところであります。 情報発信では、これらを幅広く集約して、WEB上で英語による発信を行うとともに、海外セールスなどでPRに努めていきたいと思っております。 国内外の愛好者に多様な選択肢を提供できるよう、受入体制の充実を図ってまいります。 ○濱田洋副議長 山本生活環境部長。
    ◎山本章子生活環境部長 私からは、安全な登山のためのルールづくりについて、お答えいたします。 山を楽しみ、事故を未然に防ぐためには、登山者自身がまず、自分の力に見合う山を選定し、ゆとりある登山計画を立て、非常時を想定した所持品の準備などをした上で、登山届を提出するという基本的なルールを遵守することが大事です。 そのため県では、登山のマナー等をホームページに掲載するほか、国、市町村等と連携して、くじゅう地域を対象に登山ルール冊子の提供、また初心者を対象とした山歩き講座などを実施してまいりました。 登山口で実施する呼びかけ活動では、登山届提出のよいきっかけになったという声も聞いております。 加えて昨年度は、ユネスコエコパーク地域を対象に、登山者自身が装備などをチェックできる「安全山歩きの手引」を5,500部作成して、県内外の道の駅などで配布したほか、ガイドを対象に、登山の安全講習やフィールドワークを実施してまいりました。 このように、まずは、登山の基本的ルールやマナーをしっかりと守っていただけるよう、意識啓発に引き続き、しっかり取り組むとともに、登山道や案内板の整備などの環境づくりも進めてまいりたいと考えております。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 登山届についてお答えいたします。 登山届は、無計画登山の防止や緊急時の捜索活動に役立てる目的で作成をお願いしているもので、安全登山に必要な携行品や留意事項などの広報文も掲載しています。 提出形態としては、登山口に設置しているポストへの投函、警察本部や警察署への郵送FAXのほか、インターネット経由の届出であります。 平成29年中の届出件数は1万5,283件、うちインターネットによる届出が760件です。同年中の遭難件数は34件で、そのうち届出をしていたのは8件でありました。 警察としては、山岳遭難を防止し、また、万一事故に遭った場合に早期に救助活動を行う上で、登山届の提出が有用と認識しており、これまでも山岳パトロールの際や、県警のホームページなどにおいて登山届の提出を呼びかけております。 今後も大分県山岳遭難対策協議会など関係機関、団体と連携し、登山届の提出を促すほか、山岳パトロールや遭難救助訓練等を通じて登山者の安全確保に努めていきたいと考えております。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 はい、ありがとうございました。 まず、九州オルレについてであります。造成から6年がたって、九州内に21コースあるということで、それぞれ個性を持ったコースづくりがされておりますし、それぞれ維持管理をしてますが、フットパスもオルレもそうなんですけれども、自然の道を歩くということで、今この時期が一番草刈りが大変な時期で、そういったコースを造成すると、維持管理のほうをしっかり考えていかなければならないということになると思います。 新たにフットパスコースも造成するということですけども、今日も御答弁いただいたように、既存のオルレコースもうまく活用することで、外国、欧米の方、大洋州の方にも喜んでいただける、そういった魅力あるコースだと思いますが、ぜひ、今後しっかりアピールしていただきたいと思います。 アピールの方法なんですけども、実は今ツーリズムおおいたとか、大分市観光協会の、例えば案内所に行っても、オルレコースの地図もないんですよね。特にツーリズムおおいたにもないというのは残念だなと思います。 そういったパンフレットも必要なんですけども、実はインターネット上でかなりの愛好者の方が情報交換をしております。そういったところでしっかり県のほうもですね、情報を共有するなり、いろんな情報があるかと思うんですけども、発信するなり、そういったこと、お金のかからない情報発信の方法もあると思いますので、その点もあわせてお願いしたいと思っております。 先月25日に済州オルレの徐明淑(ソミョンスク)理事長さんが来られました。これは、九州オルレ21コースを踏破しようというツアーが25日から始まってですね、福岡空港で韓国の方を中心に待ち合わせる。そこから、こちら大分のほうにも入って来て、民泊に泊まって奥豊後コースを楽しんで、次は福岡のみやまコースに行ったというようなことです。いろんな楽しみ方が、このオルレとかフットパスにあると思いますので、そういった情報もしっかり県としても把握していただいて、できれば歓迎して、一緒に歓迎してほしかったなというのもあったので、あえてちょっと申し上げます。 そして、次に山岳遭難等に関することでありますけども、大分県山岳遭難対策協議会、これは副知事が会長となっておりまして、事務局は警察本部にあるとお聞きしております。 今日、登山の条例について等、ルールづくりについては、なかなか非常に難しいのかなと、条例制定は難しいという御答弁だったと思うんですけども、実際、長野県や山梨県の事例等も踏まえて、登山届の義務化なりは考えないと。さきほど34件中、届出してたのが8件だったということは、やはり課題として考えていただきたいと思います。 そういう中で、いろんな遭難しないための手法というのがあるんですが、今日、私の手元にこれを用意しています。 (マップを掲げる) これは樹脂製の立体の登山マップで、九重山系のものです。定価は2千円ぐらいで、10年前に私が購入したものです。これは実は竹田市の警察署の方も山岳遭難の捜索をする際に折ってポケットに入れておく。これは樹脂製ですので、そのまま開いて、また見ることができる。雨にぬれても大丈夫ということです。実はこれ九重山系しかないんですけども、ユネスコエコパークに認定された祖母・傾山系というのは、非常に遭難者が多いところでありますので、ぜひこういったツールを使って、そういった山岳遭難を減らすという手法も考えられるんではないかと思います。それについて、生活環境部長に尋ねたいと思います。 もう一つ警察本部長には、条例制定について、どう考えるか、本部長の見解をお聞かせください。 ○濱田洋副議長 山本生活環境部長。 ◎山本章子生活環境部長 ただいまの樹脂製の地図について、お答えいたします。 私どもは、やはりルールを守っていただく、マナーを守っていただくために、啓発資材をお配りしたりということをしております。その中に地図がない、地図も含まれている場合もございます。分かりやすく使いやすいということが大事になってくるかと思います。 配布対象者、またその利用目的、配布数、経費なども含めて、総合的に検討してまいりたいと考えております。 さきほどお見せいただいた地図は、参考にさせていただきます。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 条例制定については、さきほど生活環境部長からも答弁があったとおりですので、私のほうから、その是非についてお答えするのは適当ではないと思います。 けれども、もし仮に長野県あるいは山梨県と同様にその条例があり、そして登山届の提出が義務付けられているという場合には、当然その履行について、警察本部としてもさらに積極的に声かけを行っていくということは可能になると思われます。 それから、さきほど御質問の中にもございました遭対協ですね、これらをはじめとする関係機関の役割も一つ明確になるのかなというふうには考えているところでございます。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 遭難対策協議会の中でも、今日のことをぜひ取り上げていただきたい、今後の課題としていただきたいと思います。 では、続いて外国人技能実習制度について伺います。この件については、私、実は2年ぐらい前から資料収集をしておったところであります。まさに最近、新聞紙上でも、いろいろ課題になっているところですので、今回質問をさせていただきます。 外国人技能実習制度は、平成5年に創設され、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術、又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としています。 厚生労働省によると、昨年10月末時点の外国人労働者は約127万9千人で、うち2割の約25万8千人が技能実習生です。受入職種では現在、建設や縫製、農業、介護など77種あり、海外の送り出し機関が現地で実習生を募り、日本の受入団体が実習先にあっせんする仕組みとなっております。 この技能実習制度は、制度の趣旨を徹底するため昨年度見直しが行われ、11月1日に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されました。 具体的には、技能実習計画を個別の認定制とするなど、管理監督体制を強化し、また、外国人技能実習機構に技能実習生からの通報・申告窓口を設置し、人権侵害行為等に対する罰則を整備することなどにより、技能実習生の保護を図ることにしております。 さらに、実習生の送り出しを希望する国との間で政府間取り決めを順次作成することを通じて、相手国政府と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指しています。また、法改正と同時に、介護も受入職種に追加されました。 介護分野については、宮崎県の監理団体から申請のあった2名の中国人技能実習が認定第1号となり、事前の研修を経て、早ければ8月にも介護現場での技能実習が始まるとのことであります。 関係者によると、既に中国やフィリピンの送り出し機関で準備が進んでおり、5月にはベトナム政府も許可を出したとのことで、今後、介護分野における技能実習生が多くなると思われます。 本県の状況を見てみますと、製造業を中心に多く受け入れられており、昨年、我が会派の鴛海議員の一般質問にもありましたが、豊後高田市では、商工会議所と民間事業者が連携して、外国人技能実習生の受入窓口と労働実態のチェックを担う監理団体の設立に取り組んでおります。 また、農業分野においても、県とJAグループ大分が、県内農協に外国人技能実習生を受け入れる態勢を整えるための第三者管理協議会を設立したところです。 本年1月、我が会派の調査でベトナムの外国人技能実習生の送り出し機関を訪問しました。これから日本で技能実習を受ける、高校を卒業したばかりの若者が、日本語や日本の文化やマナーを一生懸命学んでいました。彼らの目は本当に輝いておりました。 ベトナムに帰国後、技能実習で身に付けた技術や日本語能力を生かすことのできる職種は、例えば日系企業の工場や日本語学校の講師など、数多くあるとのことで、送り出し機関で技能実習に夢と希望を持って学んでいる彼ら彼女らの姿が実に印象的でした。 他方で、希望を持ってやってきた日本の実習先で賃金の不払や、単なる労働力として扱われるなど、その劣悪な労働環境により失踪してしまう実習生が後を絶たないのも現実です。 県内で外国人技能実習制度により研修を受けている実習生の現状をどう把握しているのか、また、技能実習生を支える環境整備について、改正法の趣旨を踏まえ、県としてどのように取り組もうと考えているのか、知事にお尋ねいたします。 ○濱田洋副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 外国人技能実習制度について、御質問をいただきました。 全国的に外国人技能実習生が年々増加する中でございますけれども、県内の技能実習生も平成29年10月末現在2,624人となっておりまして、外国人労働者全体の約半数を占めております。 開発途上地域の経済発展を担う人づくりに協力するという技能実習制度は、技能実習生の受入れを行う企業や監理団体が、本国に戻って活躍できるよう技能等の習得を支援するものでありますけれども、地方にとりましても国際交流の架け橋にも通じる大切なものだと考えております。 このため、県内にある造船、縫製、農業など、業種別の事業協同組合や商工団体等、23の監理団体をはじめ、県が実施する500社企業訪問や、実習生が居住している市町村を通じて、技能実習の実態把握に努めているところであります。 例えば臼杵市では、造船業で学んでいるフィリピンの実習生に対して、ゴミの出し方などの生活ルールや市内の観光スポットを紹介するセミナーを開催して、実習生が地域から孤立しないようサポートしております。また、大分市の縫製会社からは、実習生を中国から受け入れ、帰国後に同社の現地法人で活躍してもらっていると伺っております。 しかし、全国で労働関係法令違反が発生するなど、残念ながら適正な技能実習が実施されていない実態があることも事実であります。 このため、昨年度、制度の徹底に向けて法改正が行われ、監理団体等に対する管理監督体制が強化されたところあります。 大分に来た実習生が技能を身に付けるとともに、大分を大好きになってもらうためには、技能実習制度が地域において円滑に運営されることが何よりも重要なことだと思っております。 このため、企業・監理団体を対象としたセミナーを開催することによりまして、制度の正しい知識や実習生との相互理解が広がるよう、周知・啓発に取り組んでいるところであります。 当県は、人口あたりの外国人留学生数が全国で2番目であります。この強みを生かして、多くの留学生が県内で創業したり就業する支援を積極的に行っております。 地方創生を進める中で、県内の留学生や技能実習生など、外国人材の育成の流れを根付かせて、地域の活性化や国際交流の面でも活躍してもらえるように、今後も海外人材育成の先行県としてしっかり取り組んでいきたいと思います。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 技能実習生をしっかり人材として、これからまた大分県の発展のためにも、共に生かしていく、本当に必要なことだろうと思いますので、ぜひその方針で続けていただきたいと思います。 政府も技能実習制度に今度上乗せして、骨太の方針のほうにもですね、5か年を上限に日本国内で就労できる新たな在留資格を設けるなど、これから外国の人材がたくさん日本に入ってきます。大分県にも入ってくると思うので、その人材活用の観点から、しっかり制度等の設計をお願いしたいと思います。 それでは、最後に県税事務所の再編について伺います。 県は昨年10月に、豊後大野と佐伯の県税事務所を廃止し、大分県税事務所に業務を集約するとした再編案を公表しました。 この再編案を受けて、両事務所が所在する豊後大野市と佐伯市からは、県税事務所の存続に対する要望書が県知事に提出されました。 豊後大野市の要望書には、「大分県の行財政改革に関しては理解するものの、交通弱者といわれる高齢者が増加していく中で、納税相談や納付する場所が遠くなれば、納付の意欲の低下が懸念される」とありました。 私は、そのことも踏まえ、昨年の第4回定例会で、「再編について、今後どのような検討が行われ、実施時期はいつになるのか」と質問をしたところ、執行部からは、「見直しにあたっては、県民の利便性を確保するための窓口業務の体制や、税収確保のための徴収体制について検討する必要がある」、また、「実施時期については、住民の利便性に直接影響することから、十分な検討を行い、地元の理解も得ながら、丁寧に進める」との答弁がありました。 その後、県は再編案について直接県民から意見を聞くため、3月末から1か月間パブリックコメントも実施したと聞いております。 そこで伺います。県税事務所の再編について、これまでの議会での議論や地元自治体からの要望、パブリックコメントでの意見などを受けて、どのような検討を行い、それを踏まえ最終的に、いつ、どのような再編とするのか、県のお考えをお聞かせください。 ○濱田洋副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 県税事務所の再編について、御心配をいただいております。 本県の税務行政におきましては、職員数が人口規模の類似する他県と比べて多くなっていること、あるいは、県税事務所の規模が小さいために、課税業務の取扱件数が少なくて、職員の専門性の向上を図りにくいなどの課題があります。 このような課題に対応するため、昨年10月に、大分県税事務所に佐伯県税事務所と豊後大野県税事務所の業務を集約して、両事務所を廃止するとした再編案を公表したところであります。 この再編案に対しましては、これまで県議会での議論や地元自治体との意見交換、パブリックコメントなどで「減免申請や納税相談を行う場所が遠くなれば、利便性が低下するので、そういうふうにならないようにしてほしい」、あるいはまた、「個人県民税の徴収業務を行う市町村との連携が弱まって、徴収率に影響が出るのではないか」というような意見をいただいたところであります。 県税事務所の再編にあたりましては、税務行政の効率化という立場からだけではなくて、県税事務所を利用する県民の利便性を確保するということが、もちろん大事であります。 いただいた御意見を踏まえて、県民が利用する窓口業務につきましては、減免申請や納税相談等で再度来所する必要のないように、専門性のある職員がワンストップで対応できる体制を確保できるように検討を進めてまいりました。 また、徴収業務につきましても、市町村との連携や滞納処分等に迅速に対応する必要があることから、それぞれの業務に対応する体制について検討を行いました。 このような検討の結果、佐伯市と豊後大野市に、窓口業務や徴収業務を行う「納税事務所(仮称)」、これを設置したいと考えております。 その上で、職員の専門性向上や業務の効率化を一層図るために、佐伯、豊後大野県税事務所で行っている全ての課税業務を大分県税事務所に集約します。あわせて別府、日田、中津県税事務所で行っている課税業務のうち、窓口での申告件数が少ない法人二税等につきまして、申告書の受付・相談は従前どおり各事務所でも対応し、利便性を確保した上で、税の調定等、内部事務は大分県税事務所に集約いたします。 再編の実施時期につきましては、県民への周知期間も必要なことから、平成31年4月1日から行いたいと考えております。 この再編案は、これまでと同様に県民の利便性を確保しつつ、税務行政の効率化や専門性の向上、税収確保にも対応できるものと考えておりますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っているところであります。 ○濱田洋副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 はい、ありがとうございました。 今、知事から検討をいただいた結果、仮称ですけど、納税事務所を佐伯、豊後大野、それぞれに設置するということであろうと思います。 来年の4月1日からということで、今回、豊後大野、佐伯両市からの要望を受けて、また議会での議論の結果、このような方針ということであります。やはり地元両市にしっかりとした説明も必要だと思います。前回、私も述べさせていただいたんですけども、県職員の人材育成の観点からも、そういった地方事務所で経験するということもやっぱり重要であろうという話もさせていただきました。 いろんな人材育成、効率化も大切でしょうけどやはり人材育成の観点から、そういった人事、事務所の設置等も、今後しっかり考えていただきたいなと思います。 これまで検討いただきまして、ありがとうございました。これから、私どももしっかりと地元の御意見を聞きながら、これについて、また協議をさせていただきたいと思います。 今回は人材と、また大分県の持ついろんな財産の活用について述べさせていただきました。 今後も、私自身も議員としてしっかり、この地域のために頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上で終わります。ありがとうございました。 ○濱田洋副議長 以上で、森誠一君の質問及び答弁は終わりました。守永信幸君。  〔守永信幸議員登壇〕(拍手) ◆守永信幸議員 28番県民クラブの守永信幸です。 本日は先輩議員、そして、同僚議員の皆さんから一般質問の機会を与えていただきました。本当にありがとうございます。 今朝ほど、大阪を震源地とする地震が発生しました。震度6弱の大きな揺れだったようですけども、大分県大阪事務所でも職員の皆さん、特に異常はなかったと伺っております。ただ、お昼のニュースでは、3名の方が亡くなって、60数名の方が負傷をしているというニュースが流れてきました。被害の実態は、これから明らかになるんでしょうけども、そういった方々に心からお見舞い申し上げるとともに、いち早く日常を取り戻せるように祈っておきたいと思います。また、大分県でも、きちんと状況を把握しながら、何らかの対応、支援、また、私たちの身の上に降りかかった場合に、きちんと対応できるように努力もお願いをしておきたいと思います。 それでは、早速一般質問に入っていきたいと思います。 まず、県職員の働き方改革についてですが、これについては、第1回定例会で河野議員や堤議員の質問に対して、職員行動指針の作成や勤務時間を把握するためのシステム導入など、今後の取組についての答弁がございました。これは、ぜひともしっかりとやっていただきたいと思っています。 さて、職員数についてですけども、ここ数年は人員削減等は行わずに、行政サービスの質的向上を目指して取組をしておられますけども、2004年度から2011年度までの取組では、知事部局等で775人もの職員定数が削減されました。 これまでの行財政改革によって職員数が減らされた一方で、県民ニーズは複雑になり、さらに高度化していることから業務の困難さは増大をしています。県民に適切なサービスを提供するためには、必要な職員数を確保していくことが重要だと考えています。 私は、さきの定例県議会での知事の答弁を聞きながら、システムを導入して実態把握をするということを、実態調査をすると解釈しておりました。その後、関係者に詳しく話を聞いてみると、パソコンの稼働状況をもとに勤務実態と時間外勤務の命令に差が生じた場合に、時間外命令を行う所属長が、それを確認できるシステムをつくることであったということを知りました。 それでも、勤務実態に超勤の実績を近付けるという作業ですから、実態がきちんと把握されることになるのであろうと考えます。 その結果、時間外勤務によって健康を損なうような働き方が明らかになった場合に、上司が具体的に対策を講じていく。また、特定の職員に対して集中している場合に、業務を割り振り、平準化を図るということがきちんとなされることが必要だろうと思っています。 しかし、実態を明らかにするだけで時間外勤務が消滅するのであれば、もっと早くに課題は解決できているはずなんです。しかし、実質的にはそれができていないわけですから、それがなぜなのか、そして、これまでとは異なる工夫をしていかなければならないであろうと思っています。 特に事業のスクラップが徹底されない限り、いつまでたっても職員は仕事に追われっぱなしということになると思います。このときに、誰がスクラップの指揮をとるのかが課題だと思っています。 知事や総務部長は、現場の職員が実態を理解しているだろうから、現場で考えさせるとおっしゃるかもしれません。現場の意見を大切にするということは重要なことではあります。しかし、現場ではスクラップの決断というのなかなかできるものではありません。スクラップを決断し実行できるのは、知事や部長、所属長だと思っています。 そこで、改めて超勤縮減に向けた働き方改革に取り組む知事の意気込みについてお聞かせいただきたいと思います。 次に、県立病院における働き方改革についてお尋ねします。 これまで、知事部局や教育現場における働き方改革については議論が交わされてきましたが、県立病院においても超過勤務が課題となっているのではないでしょうか。 三交代制の勤務の中で、働き過ぎによってミスをしてしまうと、患者さんの命に関わることでもありますし、超過勤務の縮減策や人員増について検討し、必要な部署には、速やかに増員や応援態勢の整備をしていくことが必要だと考えています。 特に、県立病院は、医師の勤務実態も厳しいと耳にしています。医師や看護師をはじめとする様々な専門職種で運営されていることから、すぐに増員をするというのも現実的には厳しい状況ではないかと思っています。 そこでお尋ねしますが、現在の県立病院での超過勤務の課題をどのように捉え、今後どう取り組むのか、さらにスタッフをどのようにしてそろえていくのか、お考えをお尋ねいたします。 また、警察官の働き方改革についても、これまで議論されてこなかったと思います。 先日、文教警察委員会の県内所管事務調査で地元議員として話を聞いたのですが、県警高速道路交通警察隊では、15人単位で三交代の勤務体制となっているという話でした。 総員52名で15人体制の三交代の勤務体制ということだと、ぎりぎりの職員数でしかない状況です。県警は、定数がここ数年で若干増加はしていますが、各所属の定数が県民の安全を守るために、定員として適切な人数が確保されているとお思いかどうか教えてください。 特に、今年秋の国民文化祭や全国障害者芸術文化祭、来年度のラグビーワールドカップなど、大分県への来客数の増大も予想されます。臨時的なイベントの際は、他県からの応援も考えられるのでしょうが、県警も普段とは異なる場面で気を遣うことも多いと思います。 メンタル面でのフォローも重要なことになってくると思いますが、警察官の勤務の実態はどのようになっているかを含め、県警における働き方改革について警察本部長のお考えをお伺います。 残りは、対面席から質問させていただきます。  〔守永議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○濱田洋副議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 守永信幸議員から、県職員の働き方改革について御質問をいただきました。 私は、これまで聖域なき行財政改革を進める中で、歳出予算の約3割を占める人件費を抑制するため、職員定数の削減に取り組んでまいりました。 一方で、限られた職員数で複雑・多様化する行政ニーズや、多発する災害にも的確に対応するためには、県庁におきましても長時間労働の是正をはじめとする働き方改革を進めることが必要であります。 このため、今年の3月でございますが、職員行動指針を策定いたしました。今年度を県職員の働き方改革元年として取り組んでいくこととしております。働き方改革を実効性あるものとするためには、公務能率の向上と業務の適正配分の二つが重要であります。 まず、公務能率を向上させるため、無駄や非効率の排除を徹底いたします。事業のスクラップにつきましては、平成30年度当初予算編成において、新たに事務事業評価の結果も反映して、66事業の廃止・縮小を実施しております。 また昨年度、土木建築部では、職員提案型の事務事業スクラップ運動を実施して、提案163件中64件を採択、約1万時間の業務を廃止・縮小しました。 これは、主管課を中心に部局をあげて検討を行い、部長が自ら判断するということによって成果が上がったものであり、議員御指摘のとおり、トップのリーダーシップの重要性を再認識しているところであります。早速、この取組の成果を部長会議で共有し、全庁で展開することとしております。 公務能率の向上に大きな成果が見込まれるテレビ会議やWEB会議の活用による会議運営の効率化・簡素化、タブレット端末やドローン等のICTの積極的な導入による業務処理の高度化につきましても進めてまいります。 無駄や非効率の排除とあわせて、業務の適正配分も重要であります。 これにつきましては、8月に導入する勤務時間管理システムを活用して、職員の勤務実態を的確に把握し、業務の平準化と勤務時間の縮減につなげていきます。 また、年度当初に想定し得なかった業務量の増大があった場合には、年度途中であっても、臨機応変に事務分担の変更や人事異動を行うなど、より一層の業務の適正配分を行います。 長時間労働の是正や深刻な人手不足が社会全体の重要な課題となっておりまして、県職員の働き方改革も待ったなしだと受け止めております。 職員一人一人が健康で、意欲や働きがい、充実感を持って職務に精励できるように、私自身先頭に立って、働き方改革に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、病院局長、警察本部長から答弁をさせていただきます。 ○濱田洋副議長 田代病院局長。 ◎田代英哉病院局長 県立病院職員の働き方改革についてお答えいたします。 病院における医療従事者の勤務環境の改善は重要な課題と考えております。一方、医師法上の応召義務や、医療の質の向上のための自己研鑽と業務の区分をどう考えるかなど、医療界独自の課題もあります。 他県では、長時間勤務の是正のため診療制限を行う病院が出てきており、これらの課題に対する国レベルでのしっかりした議論により方向性を定め、複数主治医制への移行等、国民の理解を醸成することが重要であると考えております。 そうした中、県立病院では、まずは次のような勤務環境の改善に取り組んでいるところでございます。 医師や看護師の業務を補助する医療秘書や看護助手の増員を図るなど、業務移管を推進しております。加えて、勤務実態の厳しい医師に労働時間の短縮に向けたアンケートやヒアリングを行うとともに、勤務実態をより適正に把握するためのシステムの導入も検討しております。 今後も働き方改革を進め、職員が安心して働ける職場環境を構築するとともに、県民医療の基幹病院として良質な医療の提供に努めてまいります。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 警察官の働き方改革についてお答えいたします。 まず、各所属の警察官の定員の配置にあたっては、治安情勢の変化に的確に対処し、県民生活の安全を確保するため、弾力的な運用を行っています。 現状として、刑法犯認知件数が継続的に減少していることなどから、それぞれ必要な定員は、おおむね確保されているものと認識しています。 今後も治安情勢に応じた組織の見直しを行うとともに、限られた人員で最大限の効果を発揮できるように、業務の合理化・効率化も進めてまいる所存でございます。 次に、働き方改革についてでありますが、本県警察官は、9割以上が当直勤務を行っていますが、昼夜を問わず発生する警察事象に即応するため、時間外・休日勤務も避けられないところです。 一方、職員の緊張を解きほぐし、私生活の充実を図ることにより、業務により専念することができる環境を整備すべきと認識しておりまして、昨年4月には、働き方改革アクションプランを策定し、業務の合理化・効率化等の各種取組を継続的に推進しております。 その結果、治安水準を維持する一方、メンタル不調を理由とする休業の抑制や超過勤務の縮減などの効果も現れており、今後もこの取組を進めてまいる所存です。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 具体的に各部長が判断をして、そもそも職員の提案からスタートしているわけですけども、それを精査し、実行に移すということ。今の状況を見守りながらやって、皆さんがやりがい、働きがいを感じられるように見守っていきたいと思っています。 8月から導入をされる勤務時間管理システムとおっしゃいましたけども、伺っている話の中では、時間外勤務の命令をそれぞれが出し、承認を受けて時間外に超勤に取り組むわけで、パソコンの稼働状況がそれを上回っているときに、その内容を精査するとお伺いしています。 そのときに実態を把握する中で、やはり少なくとも、その実態を隠させないということが大事だろうと思っています。 現場で班総括が超勤の管理をしていく中で、どういう理由で時間がオーバーしたのか、何を作業していたのか、そういったことをきちんと把握することなんだろうと思いますけども、実際、班総括そのものも担当を持って、かなりの業務をこなしていらっしゃいますよね。それに、さらに10人前後のグループ、班のメンバーの方々の超勤実態を丁寧に把握していく、管理をしていくというのは、かなり負担になるんじゃないかと思ってます。 班総括そのものがそういう重い負担を抱えながらというのは、かなり気を付けていかないと、班総括そのものがもうつぶれてしまう、メンタルダウンをしてしまうということが起こり得るんではないかと思っています。逆に班総括の皆さんが気を配っていかないと、グループの皆さんは以前のライン制とは違った業務形態になってますから、誰が何をしているか分からないという状況になってしまうんじゃないかとも考えています。 そういった状況にきちんと注意していただいて、取り組んでいただきたいと思っています。 また、その中で極端に時間外の多い職場、さらに、どのように仕事を平準化させてもらちが明かないという職場に対して、人員増も含めて、何か対応するつもりがあるのかどうか、お考えがあれば教えてください。 ○濱田洋副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、8月に勤務時間の管理システムを導入いたします。これにつきましては、やはり各班の個別の業務については、なかなか所属長の目が届かないということもありますので、一義的には班総括で見ていただいて、それについてさらに所属長がフォローするという体制が良かろうと考えているところでございます。 また、そういった状況を見る中で、当然のことながら業務が多い部署につきましては、さきほど知事から答弁を申し上げたように、年度途中であっても必要な人事異動を行う、業務の平準化を行うという対応を考えておりますので、そういったことを含めて対応してまいりたいと考えております。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ぜひそういう取組、しっかりと実のある成果が収められるように取り組んでいただきたいと思います。 ただ実際、班総括が現場の職員の状況をきちんと把握して、それで状況を把握していくということはどうしても必要だろうと思うんですが、その際に班総括のそういう作業も一つの事務分掌であるとして、その業務の一つと数えていかないと。他の人と同じように事務分掌を持ちながら、そういう管理作業までやっていくというのは大変だろうと思いますので、その辺はぜひ、それぞれの所属長に指示を徹底していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 あと、病院と警察関係で少しお尋ねします。病院等で、それぞれの専門のスタッフの中で、どうしても欠員を生じてしまう部門があるみたいなんです。例えば薬剤師にしても、毎回多数の募集をかけるんだけど、応募人員そのものも少ない。募集人員よりは多く応募はあるみたいなんですが、資格が取れるかどうかというのも含めて、欠員が生じてしまうという状況もあるようです。 運用していく上で、それぞれのスタッフがきちんとそろっていかないと、うまく業務が回っていかないという状況もありますので、その辺をきちんとそろえていただくように、工夫をこらしていただきたいと思います。薬剤師で今年も一人、資格が取れなかったということがあったみたいですが、例えばその方を保留しておいて、何かの職務で雇用して、翌年資格が取れた段階で正式に薬剤師として雇用すると、そういう工夫というのはできないものなんでしょうか。その辺を教えていただきたいと思います。 また警察の関係になりますけども、各警察署の定員配置については、その地域の状況を見ながら柔軟に対応していく、それをきちんとやっていただきたいと思っています。 先般、サイバー対策についての取組状況を担当の方にお伺いしたんですけど、沖縄とか福岡では数十人規模の担当の部署があるのに対して、大分では2人の方が担当されてる。2人の方が担当されているだけとお伺いしました。 今後、複雑な犯罪が増えていくだろうと思うんですが、他県との差が余りにも激しいような気がします。そういった分野を含めて将来的に見ながら、職員の配置なり、そういったものを柔軟に考えていかれるのか。その辺、もし何かあればお答えいただきたいと思います。 ○濱田洋副議長 田代病院局長。 ◎田代英哉病院局長 守永議員から、薬剤師の確保についてお尋ねがあったかと思います。 昨年度国家試験に合格できずに採用できず、定員割れをしたということが実際にございます。 薬剤師としては、やっぱり国家資格がないと仕事に就くわけにはいきませんので、守永議員のおっしゃったようなことはなかなか病院局では難しいんではないかなと私は考えております。 ただ、薬剤師につきましては、人事権は実際のところは生活環境部にございますので、そこら辺は生活環境部でも検討が必要なことではないかなと思いました。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 サイバー犯罪についてお答えします。 議員の御指摘のとおり、最近その種の事案については、全国的に増えているところでもございますので、全国警察において対応を強化しているというのは事実でございます。 他県との個別の比較について詳細な数字は持っておりませんけれども、本県ではその他県警とも連携しながら。あるいはインターネットホットラインセンターという、これは外部の団体でございますけれども、そのサイバーパトロール等をやって、情報を提供していただけることになっておりますが、そういった団体とも連携して対応してまいりたいと思っております。 さきほどお答え申し上げたとおり、県警内部での一定の組織間の定員の配置というのは、弾力的に治安情勢に応じて行ってまいりたいと思いますので、御指摘も踏まえて対応してまいりたいと思います。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 さきほど、薬剤師の関係については、病院局ではなくて生活環境部という御指摘をいただきましたけども、またそういったことができないかということも含めてですね、勉強して取り組んでいただければと思います。 いずれにしても、今、職員の皆さんが県民の皆さんのために、何か自分のできることをきちんとやっていこうという思いで働いているという状況、多分部長の皆さんも、その姿はきちんと見ておられると思います。その皆さんがやはり、さきほど知事が言われたように、やりがい、生きがいを感じながら、そして自分の生活も大切にしながら取り組める、そういう環境をぜひ実現していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、JR九州の鉄道事業運営についてお尋ねしたいと思います。 JR九州は3月17日のダイヤ改正で大幅な減便を行い、さらに大分市内でスマートサポートステーションSSSをスタートさせました。 減便の問題については、高等学校に通う生徒が、「待ち時間が長くなる」、「帰宅時間が遅くなる」といった実態を訴えているようですし、離島に住む方から、「船との連絡がうまくいかない」といった苦情もあるようです。 これらの課題については、県は各市町村に照会をされ、JR九州に対して要望書も出されています。 SSSについては、大分市内で牧駅、幸崎駅、滝尾駅を対象に運営が始められているのですが、障がいのある方々や高齢者から不安の声が、誰もが安心して暮らす大分県をつくる会に寄せられています。 このSSSについて、JR九州に運営状況の視察調査を依頼したところ、受入れの準備が整っていないということで、私は現在、待ちの状態になっているんですが、そこで現場で働いている皆さんから若干話を伺ったところ、先日、牧駅で線路に転落した方がいらっしゃって、近くにいた方から駅の連絡システムで連絡が入り、サポートステーションから付近を運転中の運転士に注意を促したということがあったようです。転落した乗客も自分でホーム上に避難ができ、大きな事故にはならずに済んだようですが、この事案を聞くと、障がいのある方々が、何か事が起きたときにすぐに手を差し伸べてもらえないということに不安を感じているのは、もっともだと思います。 また今回は、転落してから列車が近付くまでに十分な時間があったということで重大事故に至らずに済んだのだとしたら、単に事故にならなかったというだけで、SSSの運営がこのままでよいと言えるのかは疑問です。 また、先日報道もありましたが、日田彦山線の復旧については、JR九州の青柳社長から運行とインフラ管理の分離、いわゆる上下分離を議論する必要性があるとの発言もあったようです。 知事は上下分離に反対の意を表明されていたようですが、県下で鉄道の利用者が減少する中で、コスト削減の努力が必要なのは理解できなくもありませんが、鉄道は公共交通の要ですし、地域の振興や活性化に大きな影響を及ぼすものです。 そこで、鉄道幹線の維持や利便性の向上、県民の不安解消のため、JR九州とどのように連携していくのか、知事の考えをお聞かせください。 今回、SSSの監視下に入る駅の様子を見に行ってきました。 滝尾駅と幸崎駅は元々無人駅だったわけで、SSSによって安全性が向上すると説明されていたので、ある意味期待をして行ったのですが、カメラで監視できる範囲は、ホームと出入口のみ。例えば幸崎駅では、渡り廊下が線路をまたぐ形で設置されています、無人の駅ですから、カメラが駅全体を監視できるようになっているのだろうと思ったのですが、その渡り廊下にはカメラがありません。万が一、渡り廊下で倒れた人がいても、それはカメラでは分からないことになります。誰かが幸崎駅の画面をずっと見ていて、階段を上る人がいたのに、誰も下りてこないということに気付かなければ、廊下で倒れた人は分からないということになります。しかも、そのためには画面から目を離すことができないということです。 幸崎駅近くの公民館で開催されたSSSの説明会では、そんなことは説明されていませんでした。あの説明会に参加した方は、カメラが駅中を映し出すものだろうと思い込んだと思います。 そして、滝尾駅です。前回の定例会で、「当初、SSSに移行する予定にされていた駅でバリアフリーが未完成の駅については延期させることができた」との答弁もありましたが、滝尾駅では、点字ブロックがホームには設置されているんですが、そのホームに行くまでの通路には整備されていません。 そのような環境整備が不十分なまま、SSSに移行したのは問題だと思っています。 まずは、環境整備が不可欠であり、県として、無人化された駅構内での安全管理について、何らかの要請ができるのか、今後の安全管理の在り方として、どのようにお考えかお伺いします。 現在、鉄道事故等報告規則上は、JR九州には事故発生後の自治体への報告義務はありません。しかし、大分県は、JRや県内のバス事業者など公共交通機関の事業者を指導する立場にあると思うので、交通事故に限らず、事件、事故についても、発生した場合に何らかの情報提供があってもよいのではないかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。 現在、JR九州の日豊本線では、博多から大分までの特急列車についてはワンマン運転とはなっていませんが、大分から南では4両編成の特急列車でワンマン運転が行われています。昨年ワンマン運転になった9本の便ですが、当初は特別改札職員が乗務をしていました。この体制も、3月17日のダイヤ改正以降変更され、このうち6本の便に特別改札職員が乗務しなくなり、新たにワンマン運転となった便5本も含めて、8本にだけ特別改札職員が乗務するようになっています。つまり運転士ワンマンだけで運行する便が徐々に増えているのです。 一方、延岡から宮崎空港までは、特別改札職員が、ワンマン運転開始から今でも常時乗務をしています。この延岡と宮崎空港の間については、宮崎県とJR九州とで協議した結果だそうです。 大分佐伯間の日豊本線、特に特急については、観光客の利用もあるわけですから、大分県で不自由な思いをしないですむことが大事だと思っています。本県も、JR九州と意見交換をしていると思うのですが、特別改札職員の常時乗務について、どのようにJR九州と協議を重ねているのか、お伺いします。 今回のJR九州の特急ワンマン運転やSSSの導入については、安全確保の観点から、障がいのある方々や高齢者など、弱い立場にある方々が不安を抱いています。 一義的には事業主体であるJR九州の責任なのですが、これらの不安を解消するという意味から、鉄道警察隊の役割というのはどのようにお考えか、警察本部長にお伺いします。 ○濱田洋副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに、私からJR九州との連携について答弁を申し上げます。 本県にはJR九州の四つの鉄道路線がありまして、通勤・通学等、日常生活や観光等の経済活動において重要な役割を担ってもらっています。 一方で、急速な人口減少や他の交通機関との競合等により利用者が減少し、特に地方部におきまして路線の維持・充実を図ることは難しくなっているとも言われているわけであります。 これを踏まえて県としては、鉄道路線の維持に必要な利用促進と、安全性・利便性の向上という二つの点において、JR九州との連携をさらに深めることが重要だと考えております。 なお、JR九州が完全民営化された際に、国会での附帯決議として、「沿線地域の交通利便の確保に万全を期すべく沿線自治体等と密接な連携を図ること」が盛り込まれておりまして、JR九州も県との連携を求められているところであります。 まず、利用促進につきましては、平成27年の大分ディスティネーション・キャンペーンや、昨年の熊本大分キャンペーンのような、観光での利用促進や、日常生活での鉄道利用を促す情報発信等を、JR九州と連携して、今後も行ってまいります。 また、日田彦山線の復旧は、JR九州単独での復旧が困難とのことから、沿線自治体も加わった会議を設立して、議論を開始いたしました。私からは、地元が希望する、1日も早い復旧を強く求めたところであります。できるだけ早く結論を得るよう、JR九州等と検討を進めていきたいと思います。 次に、鉄道の安全性・利便性の向上です。スマートサポートステーションの導入につきましては、安全性を確保しながら進めることが重要であります。障がいのある方などからの不安の声がありますが、これまで他の路線で多く実施されてきたものでありまして、その実績を踏まえて、引き続きJR九州に丁寧な対応を求めてまいります。 また、駅の安全性の向上に資するバリアフリー化や耐震化につきましては、JR九州への支援を通じ、今後も共に進めてまいります。 ダイヤ改正につきましては、県民の声をJR九州に直接届け、ニーズに合った輸送サービスの提供を求めることが重要だと考えております。今般のダイヤ改正に対しても、県内全ての市町村と高等学校に改正後の利用実態を確認した上で、支障事例の改善を求めているところであります。これを踏まえ、JR九州から一部のダイヤを来月見直す旨の発表があると聞いておりますけれども、引き続き改善を求めていきたいと思います。 なお、九州地方知事会でも、JR九州を九州創生のパートナーとして、今後も連携を図ることとし、JR九州にも自らの役割を果たすことを期待する旨を声明としてまとめ、青柳社長に直接伝えたところであります。 今後も鉄道路線の維持及び安全性、利便性の向上に向けて、JR九州と連携をさらに深めながら、しっかりと対応していきたいと考えております。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 私から二つお答えいたします。 まず、JR駅舎内の安全管理についてでございます。 鉄道の安全確保は事業者の責務であり、駅舎の利用実態を踏まえ、管理方法も含めてJR九州が適切に行うべきものと考えています。 スマートサポートステーションは、駅の安全性・利便性と管理の効率性を両立するために導入されたものと認識している一方で、駅員がいなくなることについては、特に障がいのある方から不安の声があると受け止めています。 JR九州は今後のスマートサポートステーションの対象駅拡大にあたって、先行導入をした駅の状況を確認しながら進めるとしています。 県としても、利用者の声を聞きながら丁寧に進めるべきと考えておりまして、JR九州には、先行導入した3駅の施設面、運営面に関する利用者の意見を把握し、不備があれば、その都度改善を進めるよう求めていきたいと思っています。 鉄道の安全については、鉄道事業法等に基づいて、国が立入検査や改善命令等の権限を有しており、県は事業者を指導する立場にはございません。 しかしながら、災害等による不通区間の発生など、広範囲に長期間の影響が利用者に生じるような事案は、県にも情報提供が行われるようになっているところです。 それから、二つ目は特急列車のワンマン運転についてであります。 特急にちりんのワンマン化につきましては、災害時や運転士に不測の事態が生じた場合に、安全性が低下することへの懸念があることから、JR九州に対して利用者の安全確保のための対策を徹底するよう、導入前から一貫して要望をしています。 JR九州では、その要望等を踏まえ、非常用ベルの増設、目視しづらい駅でのミラーやモニターの増設、車内の防犯カメラの設置などの措置を講じており、県では、これらの対策により安全が十分に確保されているか、引き続き注視していきたいと思っています。 加えてJR九州では、ワンマン化に際して、特別改札職員を一定期間乗務させる移行措置を講じているところです。区間ごとの利用状況を見ながら当該職員の乗務を取りやめ、本格的なワンマン運転に移行している状況と理解をしています。 今後も、にちりんの利用状況を注視し、利用者からの意見を聞き、安全性や利便性が大きく損なわれる恐れが判明すれば、直ちにJR九州に対応を求めていきたいと考えております。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 鉄道警察隊の役割についてお答えいたします。 鉄道警察隊は、鉄道施設における警ら、警戒警備、警乗などを行い、犯罪の予防及び検挙に努めるとともに、危害の防止、公衆に対する保護、助言、指導などの活動を行っています。 無人駅や夜間、早朝の時間帯に無人状態となる駅に対しては、管轄の警察署と協力して、周辺の巡回、駐留などの方法による立ち寄り警戒活動を行っています。 警察としては、JR九州はもちろん、自治体などとも連携し、駅や鉄道の利用客が安心できるように、鉄道警察隊を中心に、これらの取組を進めてまいります。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 さきほど転落事故のお話もしましたけども、今後、無人化が検討される駅の中には、非常に手狭な駅もあるわけですね。今後、JRが一応事業主体として一義的に責任があるとしても、県民の皆さんが安心して利用できる状態かどうかというのは、県としてもさきほど注視をしていくとおっしゃいましたけども、ぜひ注意をもって見ていただきたいと思います。状況に応じて、例えば転落防止柵を作るだとか、そういったことが必要なものに対しては、やはりJRと協議をしながら、どういう対応をするのか、そういったことまで具体的に、個別具体的な事案についても話をしながら詰めていかれるということで受け止めて、後ほどお答えいただきたいと思います。 あと、警察の鉄道警察隊の関係ですけども、今、要員としては4人担当者がいらっしゃるんですかね、あと兼務で7人ほどが指定されていると伺ったんですけども、その人員で今後、本格的にスマートサポートステーションが稼働し始めたときに足りるのかどうか、その辺、何か御見解があればお答えいただきたいと思います。 ○濱田洋副議長 岡本企画振興部長。 ◎岡本天津男企画振興部長 JR九州に今回あらかじめ確認したところ、議員が御質問で御指摘された滝尾駅の点字ブロックが一部ついてないという状況は、もう既に確認をしているという状況でございました。 今、お話にありました転落防止柵がほしい、必要だという県民の声があれば、それは直ちに会社側に、そういう措置は講じたいと思っております。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 鉄道警察隊の体制についてお答えいたします。 正確には28名体制なのですが、警察本部地域課11名、警察署の併任者が17名ということでありまして、専務、つまり鉄道警察隊の業務しか行っていないものは2名でございます。ですので、26名については併任がかかっているという状態でございます。 これは警乗、つまり鉄道内に乗車して警戒などを行うというのは特別の資格、役割でございますので、そのようなことがいつでもできるように、大勢の者に併任をかけているということでございます。ですので、その事態に応じて弾力的な運用ができるようにはなっているということと、さきほどの答弁の中でも少し申し上げましたが、やはり管轄の警察署もございますので、そういう組織とも協力して対応することによって、支障なきを期するようにしております。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 駅の整備については、県民の声があればということですので、ぜひ、その県民の皆さんの声を常に受け止められるように、何かあったらいつでも言ってくださいということを、広報をしっかりしていただきたいと思います。よろしくお願いします。 また、鉄道警察隊についてもですね、どういう配置の在り方がいいのかというのは、ぜひ今後も検討いただいて、より安全が確保できるように取組をお願いしたいと思います。 次の質問に入りますけども、大分県下での自転車の関わる事故というのが、2007年の965件から徐々に減っており、2016年は426件となっています。この10年間で自転車による事故の発生が半減したということは、県警や関係部局の皆さんの努力のたまものであると思います。 しかし、街中の、特に高校生の自転車運転の実態を見ると、かなりのスピードを出していたり、右側を通行していたり、一時停止での安全確認が不十分であったり、歩行者の多い商店街を乗ったままで通行したりと、事故を起こしかねない場面が多く見受けられます。事故を起こしたときに歩行者に大きな被害をもたらすことも懸念されます。 2003年に東京都板橋区で自転車の安全運転に関する条例が初めて制定され、都道府県段階では2008年に京都府で初めて条例が整備されていますが、現在では15都道府県が条例を制定し、安全運転の呼びかけとあわせて、ほとんどの条例で賠償責任保険への加入を促進する内容となっています。さらに、そのうちの6府県では賠償責任保険の加入を義務付けるものとなっています。 本県も、自転車の運転マナーの向上や安全対策、被害者救済の観点から、何らかの施策を講じるべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。 ○濱田洋副議長 山本生活環境部長。 ◎山本章子生活環境部長 自転車の事故対策についてお答えいたします。 交通安全県民運動の重点推進事項の中に自転車の安全利用を掲げて、啓発や講習などに取り組んでいるところでございます。 具体的には、自転車利用のマナーの向上や適切な点検整備、そして保険加入を周知するチラシを小中高全ての新入生に配布しております。 また、自転車月間の5月には、大分市竹町ドーム広場におきまして、同様のチラシや自転車用反射材等を自転車利用者に配布しているところでございます。 さらに、事故の約2割を占める高校生への対策が重要でありますので、県では昨年秋に、県内の全高校が自転車の無事故無違反を競うコンクールを開催して、自転車運転マナーの向上を図ったところでございます。 また、県の交通安全教育講師を小中高校に派遣し、講習も実施しております。 なお、補償制度につきましては、先日、閣議決定された自転車活用推進計画の中で、新たな補償制度の必要性について検討することが示されましたので、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 今後も警察、そして交通安全団体等と連携して、自転車のマナー向上、事故の削減を目指してまいります。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 ぜひマナーの向上、そして、もし万が一事故を起こしたときに、救済されない方がいないように配慮をお願いしたいと思います。 次の質問に移ります。 高齢者の交通安全対策についてお尋ねします。 先日、京都府と兵庫県の北部地域の大学でつくるシンクタンク、北近畿地域連携会議が「高齢者ドライバーに一律に運転免許自主返納を求める政策を見直し、都市部以外では免許継続を支援すべき」との政策提言を発表したといった報道がございました。 この提言では、交通事故総合分析センターの交通統計を基に、65歳以上の高齢者の事故は25歳から64歳の壮年層の事故件数と比べて特に多いとはいえない。また16歳から24歳の若年層の事故件数よりかなり少ないとの分析がされていました。 また、「高齢ドライバーが特に危険であるとの社会的認識は明らかに誤りであるが、注意しなければならないこともある」として、次の3項目を掲げています。 まず一つ目が、70歳以上のドライバーについては、やや事故件数が増え、80歳以上では死亡事故の件数が他の年代よりも明らかに多い。 二つ目が、ほかの年代の人口比率が減少している中で、高齢者人口比率だけが増加しているために、自動車事故全体として、高齢者の事故や死亡だけが増加する構造になっています。したがって、社会的には高齢ドライバーの事故を減少させるための対策が重要な課題であるということに変わりはない。 三つ目として、高齢ドライバーに特有の危険性や事故の原因がある。例えば、アクセルとブレーキの踏み間違いや道路の逆走、信号無視といったヒューマンエラー。そして、一時停止や左右確認が苦手であったり、後方確認をしないといった、運転行動の特徴。そして、認知機能の低下や視力・視野障害といった老化による身体機能の低下などがあると言っています。 本県でも、そのような傾向は同様にあると思います。 市街地などバス、タクシーの利便性のよい地域はともかく、周辺地域ではマイカーがなければ困るという方が多いと思われます。 何より農業者は、トラクターや様々な農機具の運転もしなければなりません。公道を走るには免許を持ち続けなければならないという状況です。 高齢者が、安全に運転することができなくなれば運転免許証を返納していただかなければならないとは思います。しかし、訓練をすることによって免許所有を継続できるのであれば、何らかの安全運転指導や能力保持の働きかけを考えるべきではないでしょうか。 さきほど申し上げた北近畿地域連携会議が指摘をした注意すべき事柄に着目をすると、高齢ドライバーに特有の危険性や事故の原因を排除する講習会の開催などにより、周辺地域で高齢者が生活の質を落とさずに暮らし続けるための積極的な対策を講じるべきだと考えますが、警察本部長は、どのようにお考えでしょうか。 それと最近、運転免許のいらないシニアカーをよく見かけるようになりました。このシニアカーの普及状況は出荷台数で見ると、ここ6年間は平均すると全国で年間1万9,656台出荷されているといった状況で、耐用年数が6年ですから11万8千台近くが出荷され、使用されているのだろうということになります。2016年度の大分県内での販売台数は、電動車椅子安全普及協力会加盟店の販売台数ですが245台となっています。 シニアカーを使うことによって、体力の衰えた方でも、散歩や行動範囲が広がるという生活の質を高めるのに役立っているわけですが、一方で事故を起こしてしまうといったことも多くなっているようです。 シニアカーは道路交通法上歩行者の扱いですから、最初に言いましたように運転免許は必要なく、ヘルメットの着用義務もありません。シニアカー利用者の交通事故発生件数については、2013年の7件から減少し、ここ2~3年は、年間1~2件といった状況です。 しかし、これはあくまでも対自動車など交通事故として処理された件数であり、シニアカー単独の横転事故などは含まれてはいません。 高齢者に対して、健康寿命の延伸も考えれば、行動範囲が広がるシニアカーの安全利用の啓発など、何らかの安全対策が必要だと考えます。 シニアカーの本県における利用状況や利用環境について実態を把握されておられれば、その状況と、安全面などの課題と考えておられること、解決策について御教示ください。 ○濱田洋副議長 太刀川警察本部長。 ◎太刀川浩一警察本部長 高齢者の交通安全対策について、二つお尋ねがございました。 まず、高齢ドライバーについてお答えいたします。本年5月末現在、県下で発生した交通死亡事故の6割は、高齢運転者が加害者であるなど、高齢運転者対策は重要な課題です。 認知機能の低下が認められるなど、安全な運転に支障があり、交通事故を起こす危険性が高い高齢運転者に運転免許証の自主返納を考えていただくことは必要と考えています。 ただ、免許証を返納すれば、生活が不便になる地域もあることから、自治体や公共交通機関と連携し、安心して暮らせる移動手段を確保することも重要な課題です。 一方、認知症等のおそれがなく運転能力にも問題がない方には、必ずしも免許を返納していただく必要はありませんが、加齢に伴う身体機能の低下が運転に影響を及ぼすおそれもあり得ることから、例えば、自動車教習所などの協力を得て、自動ブレーキなどの先進安全技術を備えた安全運転サポート車の利用を考えてもらうための試乗会を開いたり、あるいは免許更新前の講習時の実車指導で、ドライブレコーダーの映像を確認してもらいながら指導するなど、一層安全に運転してもらうための支援も行っています。今後とも高齢運転者の事故抑止に向け必要な取組を行ってまいります。 次に、シニアカーの安全対策についてお答えします。 シニアカーといわれる電動車椅子については、身体に障がいがある方のほか、歩行に困難を感じる高齢者の社会参加手段としても普及が進んでいるところです。 県内では、平成25年から29年までの5年間で1,273台の電動車椅子が販売されています。 警察では、電動車椅子が当事者となった交通事故について統計を保有しておりまして、過去5年間では、15件の交通事故が発生しています。年齢別では65歳以上の高齢の方が9人、そのうち6人が道路横断中でございました。 電動車椅子利用者に対しては、販売業者などと連携して実車を用いた体験型講習会を開催し、電動車椅子の操作方法に加え、安全な通行方法についての指導も実施しています。 今後、電動車椅子を利用する高齢者の増加が見込まれることから、運転者に対する電動車椅子利用者の保護についての安全指導の推進も必要です。 なお、利用環境に係る正確な実態把握は難しい面がございますが、電動車椅子利用者が安全に通行できる交通環境の充実について、関係機関と連携してまいります。 ○濱田洋副議長 守永信幸君。 ◆守永信幸議員 ありがとうございます。 高齢者がどんどん増えていくという状況の中で、安全対策をどう講じていくのかということと、そこでの暮らしの質をいかに落とさずに暮らし続けてもらうかということが、やっぱり重要だろうと思っています。 そういった観点から、ぜひ啓発をよろしくお願いします。以上で質問を終わります。  ------------------------------- ○濱田洋副議長 以上で、守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。 本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。 これに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○濱田洋副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次回は明日、定刻より開きます。 日程は、決定次第通知をいたします。  ------------------------------- ○濱田洋副議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後2時58分 散会...